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00.力学計算

2020.11.19

力学計算全般について
 
合格ロケットでは,微分・積分の概念を使わず,足し算・引き算・掛け算・割り算の概念のみで「構造(力学計算編)」を説明してあります.これは,微分・積分アレルギーの人が多いからです.
微分・積分を用いないで力学計算を行おうとすると,式を暗記しなければどうしようもできなくなる部分があります.
これらの理由のため,計算式で導き出すのではなく,式を暗記して使いこなした方が得策であると判断した部分に関しては,インプットのコツ内で「○○を理解しましょう」という表現の他に,「○○を暗記しましょう」という表現を使っていきます.
 
まずは,「力学計算」の目次を見てみましょう.
01「静定・不静定」から10「固有周期」の問題まであります.(融合問題の11「その他」は除く.)
問題だけ,ぱらぱらっと目を通してください.
 
この中で,01「静定・不静定」と08「たわみ」の問題は,いくらでも難しい問題を作成することができます.
言葉を変えれば,02「断面の性質」,03「応力度」,04「全塑性モーメント」,05「崩壊荷重」,06「トラス」,07「座屈」,09「層間変位」,10「固有周期」の問題は,得点源になりえる単元なのです.
 
通常のテキスト・問題集は(合格ロケットも含めて),「静定・不静定」が単元の最初にあるため,勉強を始める際にテキスト・問題集の1ページ目から始めると,「静定・不静定」やその単元の基になる「力の釣り合い」,「力の流れ」や「N図,Q図,M図の描き方」の部分で『力学計算』が嫌になるケースが多く見られます.
 
そこで,インプットのコツとして,01「静定・不静定」はサラッと流して,02「断面の性質」から本格的に攻めていき,最後に,08「たわみ」の問題を勉強することをおススメします.


■学習のポイント

計算問題を学習するにあたっての超重要ポイント!

①問題文を読んで,何を求めれば良いのか(ゴールは何か)?を理解します.
②そのゴールに辿り着くためには,何を求めれば良いのか?を考えます.
③上記の②のゴールに辿り着くためには,何を求めれば良いのか?を考ます.
④上記の③のゴールに辿り着くためには,何を求めれば良いのか?を考ます.
⑤上記の③,④を繰り返します.
それにより,問題を解くに当たり,まず何からやれば良いのかの判断ができるようになります.

つねに,上記のことに意識を置くようにしてください!

01.静定・不静定

2020.11.19

この部分は,構造科目を苦手にしている人にとっては,非常にとっつきにくい部分です.全てを完璧に理解しようとすると非常に多くの時間も労力もかかりますので,まずは,一通り広く,浅く勉強していきましょう.
では「静定・不静定」の問題を解く前に,合格ロケットに収録されている00基礎知識の解説を一読してみましょう.特に,00-2「力」の解説①~00-6「力の流れ」の解説(補足編)の部分は力学計算全体に関して基本となる部分です.
00-7「N図,Q図,M図」の解説,00-8「M図,Q図のイメージ」の解説で,N図,Q図,M図の基本となる部分を説明してあります.


■学習のポイント

ポイント1.「「外力系の力の釣り合い」→「内力系の力の釣り合い」で攻める!
「N図,Q図,M図」を描く場合やトラスの問題などで共通している考え方として,『「外力系の力の釣り合い」→「内力系の力の釣り合い」を考える』ということがあります.
具体的には,「外力系の力の釣り合い」を考えて,外力によって生じる『支点反力』を計算します.次に,「内力系の力の釣り合い」を考えて,外力や支点反力によって部材内部に生じる『内力』を計算します.
言葉で書くと,これだけのことなんですが,これが難しいのですよね.
 
M図に関しては,「単純梁や片持ち梁のM図は描けるのだけど,門型ラーメンの形になると間違えてしまう(モーメントの描く側が逆になる等)」という質問がよくあります.
「M図の描き方」のインプットのコツを補足で行いますので,M図の描き方に関しては,そちらを参考にしてください.


ポイント2.「「構造物の判別式」は万能ではない!
「合格ロケット」の01「静定・不静定」項目に進みます.
構造物が安定か不安定か,静定構造物か不静定構造物かに関してですが,この部分に関しても,まずは,広く・浅く勉強しましょう.
テキストなどによっては,外的静定構造物や内的不静定構造物など詳しく説明しているものもありますが,まずは「構造物が安定か不安定か」について判別します.次に,安定構造物に関しては,「不静定構造物なのか静定構造物なのか」に関して判別できるようになりましょう.
その際,「構造物の判別式」を用いる場合があるかと思いますが,この「構造物の判別式」は万能ではないことを覚えておいて下さい.
1層1スパンの構造物に関しては「構造物の判別式」は有効ですが,2層2スパンなどの構造物に関して「構造物の判別式」を適用しようとすると,テクニックが必要になります.


ポイント3.「「静定構造物」の基本形は4パターン!
「静定構造物」の基本形としては,以下の4パターンがあることを認識してください.

単純梁系,片持ち梁(キャンチ)系,門型ラーメン系(ピン・ローラー支点),3ヒンジラーメン系の4パターンです(門型ラーメン系(ピン・ローラー支点)も単純梁系の一種と見なせば3パターン!).
単純梁系や片持ち梁系は,上図のような直線だけでなく,下図の様な形も含まれます.
3ヒンジラーメン系は,下図の様に,3つ目のピンと思える所で2つに分離可能(下図上の図)の場合は3ヒンジラーメン系ですが,3つ目のピンと思える所で2つに分離不可能(下図下の図)の場合は3ヒンジラーメン系とは言わないことを覚えてくださいね.


ポイント4.「「基本的な数値」は覚えてしまおう!
次に01「静定・不静定の解説」の「静定構造物の暗記事項」に関してですが,長さLの単純梁の中央に集中荷重Pが作用する際の,材中央部のモーメントMがM=PL/4であること,及び等分布荷重ωが作用する際の,材中央部のモーメントMがM=ωL^2/8であることは,ぜひ暗記してしまうことをオススメします.
また01「静定・不静定の解説」の「不静定構造物の暗記事項」に関してですが,長さLの両端固定梁の中央に集中荷重Pが作用する際の,材端部におけるモーメント反力MがM=PL/8であること,及び材中央部のモーメントMはM=PL/4-PL/8=PL/8であること,また,等分布荷重ωが作用する際の,材端部におけるモーメント反力MがM=ωL^2/12であること,及び材中央部のモーメントMはM=ωL^2/8-ωL^2/12=ωL^2/24であることは,ぜひ暗記してしまうことをオススメします.
勿論,暗記することが嫌な人は,計算から求めても構いません.

ここまで勉強したら,過去問題に入っていきましょう.
 
問題コード01031についてですが,このような不静定構造物の問題は,静定構造物のように,「外力系の力の釣り合い」→「内力系の力の釣り合い」,具体的に説明すると,「外力より支点反力を求めて,部材に生じる内力を求める」という考え方では解くことができません.
支点反力を「外力系の力の釣り合い」のみでは求めることができないからです.そこで,不静定構造物の問題を解く際には,たわみ角法や固定モーメント法などの解法を使うことになります.合格ロケットでは,固定モーメント法をオススメしております(01「静定・不静定の解説」の「固定モーメント法」を参照).これは「不静定問題」のインプットのコツで補足説明いたしますので,そちらを参考にして下さい.
なお,構造科目が非常に不得意の人は,この不静定問題は「捨て問」扱いにしても結構です.ここで悩むよりは,まずは全体を勉強して,時間的・能力的に余力がある場合には,「不静定問題」のインプットのコツを学習して下さい.
 
問題コード30041,23041についてですが,初めてこの種の問題を目にした際は非常に難しく感じる問題ですが,解説を一読してください.外力(水平荷重のみの場合がほとんどです)によって,梁に生じる内力(軸方向力,せん断力,曲げモーメント)が,上層から下層に伝わってきます.それぞれの場所で,「力は釣り合っている」ことが理解できるかと思います.

01-1.支点反力

2020.11.19

支点反力」を求めることは静定構造物のほとんどの問題(「静定・不静定」項目に限らず,力学計算問題のかなりの範囲がこの部分に含まれます)において求められます.支点反力の計算を間違えると,その後の計算結果によらずに,間違えた答えを選択してしまうことになりますので,あまり軽視をしないでもらいたいと思います.
 
集中荷重がかかる問題での支点反力の求め方が基本です.
合格ロケットアプリの解説集00-3「力」の解説②の「反力って何?」「反力の種類」と00-4「力の釣り合い」の解説の「外力と反力との関係(外力系の釣り合い)」を参照してください.
外力が等分布荷重や等変分布荷重(三角形荷重など,下図参照)の場合も,基本は集中荷重の時の考え方です.


■学習のポイント

ポイント1.「等分布荷重や等変分布荷重が作用している場合には,集中荷重に置き換える!

等分布荷重や等変分布荷重は,上図のように,集中荷重に置き換えて考えましょう.
 
下図の左図ように,「作用対称」の場合は支点反力も左右対称になります.
下図の右図のように「左右非対称」の場合の支点反力は左右対称にはならず,部材の長さに反比例する感じになります.


ポイント2.「外力のかかる場所によって,支点反力の向きが計算しないで求まる場合もある!
(下図参照)
00-5「力の流れ」の解説の「「力の発生」のイメージ」と00-6「力の流れ」の解説(補足編)を参照して下さい.
これにより,計算して求めた支点反力のチェックすることができます.

このように,一通りの方法で支点反力を求めるだけでなく,複数の方法で支点反力を求め,クロスチェックすることが重要です.時間があまりかかるわけではないため,クロスチェックすることを強くオススメします.

01-2.M図の描き方

2020.11.19

「単純梁や片持ち梁のM図は描けるのですが,門型ラーメンになるM図が描けない」という話をよく聞きます.話をよく聞くと「M図が描けない」のではなく「M図を間違える」んですね.
N図,Q図に関しては,部材の上に描くのか下に描くのかは重要ではなく,符号が重要です.一般的には,部材の上側や外側にプラス側を描くことが多いですが.
M図に関しては,符号は重要ではなく「部材の引張側に描く」わけです.

そこで,M図の描き方について勉強してみましょう.単純梁を例にとってM図の描き方の基本的な考え方を説明します.

下の図のような単純梁を考えます.

単純梁の場合は,モーメント図が下図のようになるのが納得できる人は多いと思います.
単純梁が下側に引張になり,部材中央のモーメントの値がPL/4になるため,上図のM図が正しいとわかるわけですよね.
それを,もう少し紐解いてみましょう.
外力として集中荷重Pが単純梁の中央に加わっていますので,支点反力は
のようになるのはわかりますよね.


■学習のポイント

ポイント1.「M図において,外力が加わっていない部材間のモーメントは直線になる!
例えば,一番上の図のような単純梁において,A-C間やC-B間には外力が加わっていないため,M図は直線になっていますよね.
よってM図を描く際には,M図の線が折れ曲がる点=外力(支点反力も含む)が加わる点におけるモーメントの値と,部材のどっち側が引張になるかについて注意を払えばよいということがわかります.


ポイント2.「ピン支点,ローラー支点にモーメント荷重が加わっていない限り,ピン支点,ローラー支点のモーメントはゼロである!
これは,00-3「力」の解説②の「反力の種類」を参照してください.
 
以上により,上記図において,A点のモーメントはゼロであることがわかります.
次に,C点に集中荷重Pが加わっていますので,C点のモーメントを求めましょう.
C点をA側(左側)から見た場合について考えましょう.C点をA側からみた場合のC点のモーメントをMCAと表現することとします.
C点をA側(左側)から見るわけですから,下図のように,C点の右側を無視することとします.

A点に支点反力として,上向きP/2の力がありますので,C点のモーメントMCAはMCA=+P/2×L/2=+PL/4となります.
C点の左側には+PL/4(+であるため,時計まわりのモーメントであることがわかります)のMCAが生じているため,「内力系の力の釣り合い(作用・反作用)」よりC点の右側には-PL/4のモーメントが生じていることがわかります.
下図の左図のように,C点の左側には時計まわりの,右側には反時計まわりのモーメントが生じているので,C点は下図の右図のような下側が引張になるような変形をすることがわかります.
つまり,単純梁の部材中央に集中荷重Pが加わる場合には,下側にモーメント図を描くわけです.
上記の説明は理解できましたでしょうか.
複雑な形状の問題も,上記考え方でM図は間違えずに描けるようになります.
Q図に関しては,00-8「M図,Q図のイメージ」の解説の「Q図変換」の考え方を用いると,M図からQ図がすぐ求まると思います.

02.断面の性質

2020.11.19

この項目の重要ポイントは3つあります.

ポイント1.断面1次モーメント(S)
・02「断面の性質」の解説に目を通してください.考えの基本は,矩形(四角形)の図心位置の求め方です.
・断面1次モーメントは,「足し算・引き算」が可能であることを利用して,L型やT型の図心位置を求めることができるようになってください.


ポイント2.断面2次モーメント(I)
・これは,部材の変形のしにくさを表します.02「断面の性質」の解説にあるように,図心を通る基準軸に関する断面2次モーメントIxがIx=b×h^3/12であることは暗記してしまいましょう.
「どの軸」に対する断面2次モーメントであるのかに注目してください.
「足し算・引き算」が可能であるため,□型やI型断面の断面2次モーメントは,分割したそれぞれの図形の断面2次モーメントの和(や差)になることを理解しましょう.


ポイント3.断面係数(Z)
・これは,曲げ強さを表します.図心を通る軸についての断面2次モーメントを図心軸から断面縁までの距離で割って求めることが出来ます.矩形(四角形)の図心を通る基準軸に関する断面係数ZはZ=Ix/(h/2)=b×h^2/6となることを理解しましょう.
「どの軸」に対する断面係数であるのかに注目してください.
・注意ポイントは,断面係数は「足し算・引き算」が不可能であるため,□型やI型断面の断面係数を求める際には,「□型やI型断面の断面2次モーメント」を計算して,図心軸(基準軸)から縁までの長さで割って計算することを理解しましょう.
・この考えは,03「応力度」の問題などで必要になるために,ここの単元で理解しておきましょう.


補足
断面2次半径(i),断面極2次モーメント(Ip),断面相乗モーメント(Ixy)に関しては,02-1「断面の性質」の解説を一読しておいてください.基本的事項(定義)を覚えておきましょう.

また,「基準軸」という概念を強くイメージしてください.

これら3つの重要ポイントに注意を払い,過去問題を解いてみましょう.


■学習のポイント
 
この「断面の性質」については,本試験においては,過去問題の類似問題が出題される傾向にありますので,今年度の本試験問題においても合格ロケットに収録されている去年度までの過去問題をきちんとマスターしてさえいれば確実に得点できるものと考えます.H18年度の問題コード18011では,梁A,B,Cがどのように変形するかについてイメージできれば正答肢にたどり着けると思います.特に梁Cに関して変形をイメージできたかがポイントとなりました.
梁Cの変形は,3つのうちの中央部材の中心軸に関して,上部材や下部材が変形するのでしょうか?
上部材は,上部材の中心軸に関して変形しますよね?同様に,下部材は,下部材の中心軸に関して変形しますよね?
この点に着目して,18011を解いてみましょう.
その他の問題については,H型やロ型などの矩形(長方形)以外の断面二次モーメントや断面係数を求めることができるようになっておきましょう!


なお,知っておくと便利な関係として,一辺の長さがDである正方形の断面二次モーメントI□=D^4/12と,直径がDである円の断面二次モーメントI○=πD^4/64の関係として,
I○≒0.6×I□ の関係です.
この関係を知っていると,円の断面二次モーメントの公式を忘れても,大体の大きさを計算することができます.

03.応力度

2020.11.19

「応力度」の重要ポイントの説明をする前に,「力」について説明させていただきます.
まず最初に,00-3「力」の解説②~00-6「力の流れ」の解説(補足編)までを一読して下さい.
そうすると,「力」には「外力」「内力(応力)」という2つの種類があることを理解できると思います.

「外力」とは,物体の外から加わる力のことです.具体的に言えば,例えば単純梁に加わる集中荷重Pや,支点反力などを指します.
一方,「内力」とは,外力によって物体内部に生じる力のことです.外力に応じて生じる力のため「応力」とも言われます.
言葉を変えれば,「外力」が一切加えられなければ(重力なども含む),「内力」は生じません.
ここで,もう一度,00-5「力の流れ」の解説の「作用・反作用の法則」と「内力伝達のイメージ」の部分を読み返してください.
  
実は,00-5「力の流れ」の部分は,非常にとっつきにくい部分で,この部分が原因で力学計算に嫌気がさしてしまう人が多いです.
なので,「力の流れ」の解説を読み返してみて嫌気がさしてきた人は,あまり深入りせずに次に進みましょう.
力学計算を一通り勉強した後で読み返してみると,意外とすんなり理解できたりしますので,現時点ではあまり心配しないで下さい.


ここで,なぜ「応力度」の勉強をするのかについて,簡単に説明したいと思います.
実際の構造設計において,「許容応力度計算」というものがあります.
概念を説明すると,地震などの「外力」により,部材内部には「内力(応力)」が生じます.その「応力度」が部材材料ごとに決まっている「許容応力度」より小さければ,その部材は「安全」,大きければ部材断面の変更などをしなければなりません.
そのために「応力度」という概念が必要になってきます.そのための勉強であることに気づけば,少しはやる気が起きるかもしれませんね.


「応力」と「応力度」について

「応力度」とは「応力」の「密度」のことを指します.よって,軸方向力が加わった時のように,ある面に一様に「内力(応力)」が生じた場合に部材中の各点に生じる応力度は,「外力」をその点の断面積で割ったものになります(軸方向力なので「垂直応力度」といいます).
生じる「内力」が曲げモーメントやせん断力の場合は,ある面に一様に「内力(応力)」が生じるわけではないので,「垂直応力度」のように「内力(応力)」を断面積で割っただけでは「応力度」は求まりません.
これらについては,以下に挙げる重要ポイントの中で説明させていただきます.

まずは,03-1「応力度」の解説を一読してください.


この項目の重要ポイントは3つあります.

ポイント1.垂直応力度σ(シグマ)

・これは外力により,部材内部に生じる部材方向の「内力(応力)」に関する「応力度」であるため,

垂直応力度(σ)=軸方向力(N)/断面積(A)となります.


ポイント2.せん断応力度τ(タウ)

・これは外力により,部材内部に生じる部材と直交方向「内力(応力)」に関する「応力度」であるため,

平均せん断応力度(τ)=せん断力(Q)/断面積(A)となります.
・せん断応力度(τ)は,垂直応力度(σ)と異なり,応力度は部材断面内に一様に発生しません.矩形断面(四角形断面)や円形断面におけるせん断応力度の分布は断面の中央部が最大となり,縁の部分ではゼロとなります.
矩形断面における最大せん断応力度(τ)はτ=3/2×Q/A,円形断面における最大せん断応力度(τ)はτ=4/3×Q/Aとなります.


ポイント3.曲げ応力度σb(シグマビー)

曲げモーメントを受ける部材は,中立軸を境に圧縮側,引張側に分かれます.曲げ応力度は中立軸上でゼロとなり,中立軸から遠ざかるほど大きくなるため,部材断面上下縁で最大となります.これを「縁応力度」と呼び,「曲げ応力度」とは基本的に「縁応力度」のことを指すため,曲げ応力度(σb)=曲げモーメント(M)/断面係数(Z)となります.
・なぜ,曲げモーメントを断面係数で割ると曲げ応力度になるのかは,「全塑性モーメント」のインプットのコツの中で解説させていただきますので,現時点では,そのまま覚えてしまいましょう.

断面内部に生じる「応力度」をすべて足すと,外力によって生じる軸方向力・せん断力,曲げモーメントなどの「応力」になります.

言葉を変えると,軸方向力・せん断力,曲げモーメントなどの「応力」を面積あたりに分解すると「応力度」になります.


これら3つの重要ポイントに注意を払い,問題コード14011以外の過去問題を解いてみましょう.

このように「現象を数式化し,関係式を導き出す」ことが,力学計算編を得点源にする最大の要因の一つであることを理解してください.

次に,問題コード14011について,補足説明させていだたきます.
偏心荷重という言葉を聞いたことがありますか? 偏心荷重とは,

のように,部材には外力として軸方向力である集中荷重Pしか加わっていないのに,外力の加わっている位置によって,部材には集中荷重Pの他に,集中荷重Pによって生じる曲げモーメントも同時に外力と加わっているとみなせるような集中荷重Pを指します.
上記左右の図に生じる内力(応力)が同じものになる,言葉を変えれば,左右の図が=で結ばれることが理解できるようになればしめたものです.

この問題は,「2軸曲げの問題」といい,「応力度」の問題の中では最も難しい問題です.部材の端部に外力Pが加わることにより,ニ方向に変形が進む(3次元的変形)問題だからです.

余り深入りせず(現時点で理解できなくてもいい難しい問題です),一通り勉強が終わった際に,余裕があれば見直せばよい問題(通称:捨て問)の一つです.

この問題を捨てない人のために,補足説明を続けますが,

の問題を考える時には,外力P(軸方向力)により,部材全体に圧縮垂直応力が生じます.外力Pが部材中央ではなく,端部に加わっているため偏心荷重となり,2軸曲げの問題となります.このような2軸曲げの問題を解く際には,2方向に曲がる現象をa方向から見た場合,b方向から見た場合という風に,3次元的変形を2次元的変形の複合として解くと理解しやすいです.
a方向から見た場合,外力Pによって断面の左側(A点,B点側)が圧縮,断面の右側(C点,D点側)が引張になります.同様に考えると,b方向から見た場合,外力Pによって左側(A点,D点側)が圧縮,断面の右側(B点,C点側)が引張になることがわかります.
以上より,圧縮応力度をマイナス,引張応力度をプラスとした場合,A点からD点のうち,A点に生じる応力度が最も小さく(a方向から見てもb方向から見ても圧縮側なので),C点に生じる応力が最も大きく(a方向から見てもb方向から見ても引張側なので)なると判断することができます.
各点に生じる応力度の具体的な値は上記ポイント1.とポイント3.より計算できます.


最後に,問題コード15171ついて,補足解説させていただきます.
この問題は,問17の構造文章題の中で出題されておりますが,内容は「応力度」の問題です.
とは言え,「応力度」の過去問の中では,パッと見,異色な感じがすると思います.フェイスモーメントにおける「応力度」を求める問題だからです.
えっ?フェイスモーメントなんていう言葉なんて聞いたことがないよ!!
っていう人も多いかも知れません.しかし,この問題は,フェイスモーメントという言葉を知らなくても解けますよね.
ちなみに,柱や梁の部材の中央線上におけるモーメント(この問題で言えば,53.0kN・m)ではなく,断面A-Aの位置でのモーメント(50kN・m)をフェイスモーメントと言います.柱に接合している梁のフェイス部分のモーメントだからです.
この断面A-Aの位置でのモーメントを計算できれば,あとは,過去問及び上記重要ポイントを使って,解くことができると思います.


■学習のポイント
 
この「応力度」については,本試験においては,過去問題の類似問題が出題される傾向にありますので,今年度の本試験問題においても合格ロケットに収録されている去年度までの過去問題をきちんとマスターしてさえいれば確実に得点できるものと考えます.


04.全塑性モーメント

2020.11.19

部材に曲げモーメントMのみがかかる場合の,部材内部の「応力」状態を見ていきましょう.

「応力度」のインプットのコツのポイント3.でも説明してありますが,曲げモーメントを受ける部材は,中立軸を境に圧縮側,引張側に分かれます.曲げ応力度は中立軸上でゼロとなり,中立軸から遠ざかるほど大きくなるため,部材断面上下縁で最大となります.この際,弾性範囲では,三角形(三角柱)の状態で進んで行きます(上記図の一番上の図).
これは,「微小変形理論」や「平面保持の仮定」というものに基づいているからなんですが,こんな言葉「微小・・・」などは知らなくてもいいです.部材中央に曲げモーメントMを受ける場合,圧縮側の縁応力度も引張側の縁応力度も同じ大きさになることは感覚的に理解できると思います.
 
この曲げモーメントが少しずつ大きくなると,圧縮側,引張側共に,縁応力度が降伏応力度σy(部材材料ごとによって異なります)に達します(上記図の二番目の図).ココまでが弾性範囲です.
降伏応力度σyとは,部材材料が降伏する(壊れてしまう)応力度であるため,更に曲げモーメントMが大きくなると,三角形(三角柱)の応力状態を保てなくなります.上記図の三番目の図のように,台形のように応力状態が進んでいきます.更に曲げモーメントMが大きくなると,上記図の一番下の図のようになります.これ以上は増えようがないので,上記図の一番下の図のような応力状態を「塑性状態」といい,塑性ヒンジが生じることになります.塑性ヒンジに関しては,「崩壊荷重」のところで説明します.
 
ここで,00-3「力」の解説②「モーメントって何?」「モーメントの計算」,00-5「力の流れ」の解説の「力の発生のイメージ」を一読して下さい.
つまり,「モーメント」とは,「大きさが同じ」で「向きが逆」の一対の集中荷重(「偶力」と言います)に置き換えて考えることが出来ます.
もう少し具体的な例で説明しますと,自動車の運転の「ハンドル」や水道の「蛇口」を思い出してください.
自動車の運転で右折する際には,ハンドルを時計廻りに回します.実際には,左腕を上に,右腕を下に動かすことで,ハンドルは時計廻りに回ります.
 
曲げモーメントM2を受ける部材(上記図の上から二番目)でも,同様に,曲げモーメントM2を圧縮合力Cと引張合力Tという,「大きさ同じ」で「向きが逆」の一対の力(偶力)で置き換えて考えることができます.
弾性範囲内で考えた場合,圧縮合力Cや引張合力Tの大きさは,三角柱の体積に相当します.よって,C=T=σy×D/2×1/2×Bとなることが理解できるかと思います.
偶力の距離(応力中心間距離といいます)をjとすると,M=C×j=T×jとなるため(これは,00-5「力の流れ」の解説の「力の発生のイメージ」参照),上記図の二番目の図横に書いてあるように,M2=B×D^2/6×σyとなります.
「応力度」のインプットのコツで,曲げ応力度σbとは,曲げモーメントによって生じる「応力度」であるため,σb(σy)=M2/(B×D^2/6)となっていましたよね.σb=M/Zと比較すると,Z=B×D^2/6となることが理解できると思います.
 
塑性状態(上記図の一番下の図)の場合,圧縮側,引張側ともに応力状態は三角形(三角柱)ではなく四角形(四角柱)になるため,圧縮合力C,引張合力Tはともに,上記図の一番下の図横に書いてあるように,C=T=σy×D/2×B=B×D/2×σyとなります.これら偶力の距離jは,j=D/2となります(これは,上記図の一番下の図より理解できますよね).
塑性状態の時のモーメントを全塑性モーメントといい,Mpと記すとします.そうすると,Mp=C×j=T×j=B×D/2×σy×D/2=B×D^2/4×σy・・・①と計算できます.
部材断面が塑性状態であるときの断面係数を塑性断面係数Zpと記すと,弾性状態の時と同様に,Mp=Zp×σy・・・②と表すことができます.
①と②式を比較すると,Zp=B×D^2/4となります.これは,覚えてしまいましょう.


この項目の重要ポイントは2つあります.

ポイント1.塑性断面係数Zpは足し算・引き算が可能である.
 
「断面の性質」のインプットのコツで説明しましたが,弾性状態の断面係数Zは,足し算・引き算できません.でも,塑性断面係数は足し算・引き算が出来ます.これは,覚えてしまいましょう.


ポイント2.部材に曲げモーメントMと軸力Nの両方がかかる場合の解き方です.

部材に曲げモーメントMと軸力Nの両方がかかる場合には,上の図の上段に並んでいる3つの図の右側のように縁応力がσyを超えるような応力状態は起きずに,実際は,その下の図のように,縁応力はσyのまま,中立軸(圧縮領域と引張領域の切り替わる部分)が移動します.
言葉を変えると,縁応力はσyを超えることができないので,上記上から2段めの図のように,曲げモーメントMと圧縮軸力Nが両方かかる場合は,圧縮側の応力場(四角柱の体積)が大きくなるわけです.
曲げモーメントは偶力で表すことができましたよね.偶力とは,「大きさが同じ」で「向きが逆」の一対の集中荷重であるため,曲げモーメントMによって生じた圧縮合力CMと引張合力TMは同じ大きさになります.
残りの圧縮合力が軸力Nによって生じた圧縮合力CNと考えることができます.

まずは,基本となる矩形断面の13021及び24011で,「基本的な問題の解き方」をマスターしてしまいましょう.
その次には,22011,02011,25011のようなH型や,28011,30011のようなロ型をマスターしていきましょう!


■学習のポイント

この「全塑性モーメント」については,本試験においては,過去問題の類似問題が出題される傾向にありますので,今年度の本試験問題においても合格ロケットに収録されている去年度までの過去問題をきちんとマスターしてさえいれば確実に得点できるので,得点源にしてしまいましょう!

05.崩壊荷重

2020.11.19

この項目に対して「難しそう・・・」というイメージを持っている人が多く見られます.が,実は,得点源の項目です.
以下に説明する重要ポイントを理解すれば,得点源になります.頑張りましょう!

まず最初に,言葉の説明をします.

崩壊:単純梁やラーメンなどの構造物に荷重を作用させ,その大きさを増大させていく時,それ以上の荷重を加えなくても「ただ変位のみが増大して」変形を生じる状態

崩壊荷重崩壊の生じる時の荷重

崩壊機構:構造物に塑性ヒンジが形成され,その構造物が不安定な状態になるメカニズム(機構)

塑性ヒンジ:部材のある断面が全塑性モーメントに達して,回転自由なピン状態になった部分
 
次に,『学科試験の「崩壊荷重」の問題を考える時の回転角θはすごく小さい時を考える』という前提条件に基づいていることを覚えておきましょう.それによって,回転角θがすごく小さい時は,tanθ≒θとみなすことができるんです.このことも覚えておいて下さい.

ここで,「合格ロケット」に収録されている05-1「崩壊荷重」の解説を一読して下さい.
 
この項目の重要ポイントは5つあります.


ポイント1.δ=θ・h
これは,前述の前提条件に基づいています.


ポイント2.仕事(量)=力×移動距離
 
単純梁やラーメンなどの構造物に外力Pを加えていくと,構造物に内力が生じます.外力が増えるにつれ,内力も増えていきます.一番弱い部材が塑性状態になります(塑性ヒンジが発生します).

単純梁の場合は,両端がピンとローラーであるため,端部以外に塑性ヒンジが発生すると,単純梁は壊れてしまいます.
その時の外力Pを「崩壊荷重」といいます.
具体的な問題の解き方は,「外力による仕事」と「内力による仕事」が等しいという点に着目します.
 
「外力による仕事」とは,外力Pによって,材が変形します.その仕事量(=力×移動距離を指します.
「内力による仕事」とは,外力Pによって,材に内力が生じます.構造物が崩壊機構に達した時に,部材に塑性ヒンジが発生して,部材が回転します.その仕事量(=部材の塑性モーメント×回転角)を指します.


ポイント3.塑性ヒンジは部材の弱い方に発生します.

上記左図では,梁の塑性モーメントが200,柱の塑性モーメントが300であるため,外力Pによって柱と梁に生じる内力(曲げモーメント)が200に達した時点で,柱ではなく梁の方に塑性ヒンジが発生します.


ポイント4.柱の長さが異なるラーメン構造物の「外力」による柱の移動距離の求め方

ポイントは,梁の長さは,変形前も変形後も変化しないことです.


ポイント5.「内力による仕事(=部材の塑性モーメント×回転角)」は『新たに発生したヒンジに関してのみ』考慮すること

例えば,片側が固定端,もう一方がピン支点であるラーメン構造物の場合,ピン支点の部分に関しては,元々ピンであり,塑性ヒンジが発生したわけではないので,「内力による仕事」とは考えません.

以上の重要ポイントに意識して,過去問を解いて見ましょう.


■ 学習のポイント

一番最初の部分に書きましたが,この「崩壊荷重」という項目に苦手意識を持っている人は多いのですが,意外と点数が取りやすいと思えるようになりませんか?もう一度,解説に目を通してください.

この「崩壊荷重」については,本試験においては,過去問題の類似問題が出題される傾向にありますので,今年度の本試験問題においても合格ロケットアプリに収録されている過去問題をきちんとマスターしてさえいれば確実に得点できますよ!

06.トラス

2020.11.19

学科試験における「トラス」の問題は,以下の仮定に基づいています.
 
 ・全ての部材が直線で,三角構成された骨組み
 ・節点が全てピン接合
 ・外力(集中荷重のみ)は節点にのみ作用


ポイント1.「節点には曲げモーメントは生じない.各部材に生じる応力は軸力のみ!」
 
上記,仮定に基づいているため,ポイント1.が言えます.それによって,問題を解くという行為が容易になるわけです.


次に,問題を解くという行為をより容易にするために
 
ポイント2.「ゼロ部材を探せ!」
 
「ゼロ部材」とは,応力(軸力)が生じない部材のことです.「トラス」の問題は,ある外力がかかる構造物において,ある部材に生じる応力はいくつになるでしょう?という問題ですから,「ゼロ部材」を探しだし,その部材を無視して考えると,より容易になります.
具体的には,節点に2つの部材が接合されていて,その節点に外力(反力)が作用していない場合には,その2つの部材に生じる応力はゼロである.ということが言えます.

建築士の学科試験のトラス構造物の問題は,「力は釣り合っている」わけです.「外力(反力)」も,それによって生じる「内力(軸力)」も釣り合っているわけです.例えば,上記図の真ん中の図において,N3がゼロでなければ,N3の内力に釣り合う力が存在しません.N1に関しては,「大きさが同じ」で「向きが逆」であるN2と釣り合うことで,「力の釣り合い」は成立できます.つまり,N3=0と考えることができます.
実際に問題を解く際に,「ゼロ部材」を鉛筆などで塗りつぶしてみると,部材数が減って,問題が簡単になります.


ポイント3.「切断法」「節点法(示力図は閉じる)」をマスターしよう!
 
トラス構造物では,上記の仮定に書いてあるように,「軸力しか生じなく」かつ「内力も釣り合っている」ため,問題解法として「節点法(示力図は閉じる)」という方法が使えます.これは,06-1「トラス」の解説内の『部材に生じる軸力を求める場合,節点ごとに考えていく』に説明してあります.また「切断法」に関しては,06-1「トラス」の解説内の『Nfgを違う解法で求める』に説明してあります.
 
ここで,

引張材と圧縮材は,上記図のようにルール付けします.逆に考える人も多くいるので注意して下さい.
 
「トラス」の問題の基本的な解き方としては(静定構造物であるので),「外力系の力の釣り合いを考える」→「内力系の力の釣り合いを考える」という2つの計算しかありません.
「外力系の力の釣り合い」とは,「外力(集中荷重)」によって,「支点反力」生じます.それを求めることを指します.
「内力系の力の釣り合い」とは,「外力(集中荷重)」によって生じた「内力(軸力)」を求めます.「節点法(示力図は閉じる)」や「切断法」によって求めることを指します.
 
「切断法」のポイントとしては,

・「切断する部材」は3つ以下

・具体的な計算としては,ΣM=0,あるいはΣY=0のどちらか

となります. 
問題コード16051について,補足説明させていただきます.
この問題は,他の過去問の解き方のみでは,答えまでたどり着くことは非常に難しいです.
まずは,一旦保留として,全項目に目を通してから,気合の入っている人のみ手をつけるようにして下さい!

通常のトラスの問題は「部材○○に生じる軸方向力はいくつか」という問題文であるのに対し,この問題は「B点の水平方向(横方向)の変位δBはいくつか」という問題ですね.
この問題を見たときに「通常のトラスの問題とは違うぞ.どうしよう??」と思った後で,「んん?求めたいのは水平変位δで,『それぞれの部材は等質等断面とし,断面積をA,ヤング率をEとする』の部分って,どこかで見たことがあるぞ!」という風に考えられるかがポイントです.
『ひずみ度ε(イプシロン)とは,長さLの部材が外力PによってΔLだけ変形した際に,ε=ΔL/Lと定義するものです.
ヤング係数Eとは,外力がかかった際の部材の変形のしにくさを表す指標であり,ヤング係数(E)=垂直応力度(σ)/ひずみ度(ε)で表現することができます.式を変形すると,垂直応力度(σ)=ヤング係数(E)×ひずみ度(ε)と表すこともできます.
部材にかかる外力(軸方向力)をN,部材断面積をAとすると,外力Nにより部材に生じる内力(σ)はσ=N/Aと表すことができるので,N/A=E×ΔL/L,これより,ΔL=NL/EAとなります.
 
このように「現象を数式化し,関係式を導き出す」ことが,構造(力学計算編)を得点源にする最大の要因の一つであることを理解してください.』
 
の部分が思い出されるかが解ける,解けないの分岐点になることがわかると思います.
「節点法」のポイントに関しては,「節点法」のインプットのコツを参照して下さい.


■ 学習のポイント

この「トラス」については,本試験においては,過去問題の類似問題が出題される傾向にありますので,今年度の本試験問題においても合格ロケットに収録されている過去問題をきちんとマスターしてさえいれば確実に得点できるものと考えます.
しかし,上記「トラス」の3つの重要ポイントを駆使しても考え方がわからない問題は,一番後回しにすることを薦めます.

06-1.節点法の解き方

2020.11.19

トラス構造物の問題を解く方法に,切断法節点法の2種類があります.更に節点法の中には,数値計算法図式法の2種類があります.
その節点法の中の図式法のことを「示力図は閉じるで解く方法」と呼ぶこともあります.
今回は,この図式法について説明します.
 
まず,前提条件として,トラス構造物の問題は静定構造物であることがあります.ということは,力は釣り合っているわけです.
外力系の力の釣り合いで考えるとトラス構造物全体に関して,力は釣り合っていることがわかります.
内力系の力の釣り合いで考えると,トラス構造物全体が釣り合っているためには,各節点も釣り合っていることになります.
そこで,各節点ごとに,内力系の力の釣り合いを考え,力は釣り合っていることを数値計算ではなく図解法として行う方法に図式法は位置します.


それでは具体例で説明していきましょう.
下図の問題で説明していきます.

のような問題です.
静定構造物であるため,外力系の力の釣り合いを考え,支点反力を求めます.

のようになります.
次に,ゼロ部材を探します.ゼロ部材に関しては「トラス」のインプットのコツのポイント2.を参照してください.
この問題の場合は,セロ部材はありませんね.


ポイント1.図式法では,未知力が2つ以下の節点について,力の釣り合いを考える!
 
このポイントは覚えてください.
なぜなのでしょうか.
簡単に言うと,未知力が3つ以上の節点について力の釣り合いを考えてみても,解くことができないからです.
 
上図において,左右対称であるため,左半分について考えます.
A点,B点,C点,F点,G点のうち,未知力が2つ以下の場所を考えます.

A点の未知数が2つですので,A点について考えてみましょう.

「節点で力が釣り合っている」=「示力図は閉じる」わけなので,節点Aに加わる力(外力P,NAB,NAF)の始点と終点とを結ばれる一筆書きができるように力の足し算を行います.上図の右図ですね.

つまりA点での力の釣り合いは上図のようになります.
NABは節点を引張る方向の力であるため引張力で,NAFは節点を押す方向の力であるため圧縮力であることがわかります.
それを,問題の図に記入してみます.

のようになります.AB材は引張材であることがわかり,B点に関してNBAは節点を引張る方向に生じていることがわかります.同様に,AF材は圧縮材であるとわかり,F点に関してNFAは節点を押す方向に生じていることがわかります.
続いてB点,C点,F点,G点において,未知力が2つ以下の部分を探します.

F点が該当しますね.
F点について力の釣り合いを考えて見ます.

上図の左図にあるような各力が閉じるようになるためには,上図の右図のような力の向きであればよいことがわかります.

以上により,F点に関しては,上図のような力の釣り合いが成り立つことがわかります.
 
これを問題の図に記入しましょう.

のようになります.
次にどの点について考えればよいでしょうか.

B点ですね.

上図の左図のような各力が閉じるようにするためには,どうすればよいでしょうか.
上図の右図の上図でも下図でも閉じていることがわかります.
好きな方でいいので,各力が閉じるときの,各力の方向を自分で求められるようになってください.
以上の図より,NBCはB点を引張る方向の力NBGもB点を引張る方向の力であることがわかります.
これを,問題の図に記入します.

のようになりますね.
この問題は架構も外力も左右対称であるため,各部材に生じる応力も左右対称になることはイメージできるでしょうか.
そうすると,

のようになります.
続いて,C点に関して力の釣り合いを考えて見ましょう.

上図の左図にあるような各力が閉じるようになるためには,上図の右図のような力の向きであればよいことがわかります.右図の上図でも下図でも閉じていればいいのですから,どっちでも構いません.
どちらの示力図でもNCGはC点を押す力(圧縮力)であることがわかります.
これを問題の図に記入すると

のようになります.
 
以上のことにより,「節点法」で各部材に生じる軸力が引張力か圧縮力であるかが判別することができます.
 
この問題のように,引張材か圧縮材かという問題に関しては,節点法の図式法で求めることができます.
しかし,ある部材に生じる軸力の値を求める問題に関しては,各節点での力の釣り合いを考えるときに,各力の値も求めなければなりません.
その際,「三四五の定理」や「ピタゴラスの定理」などの知識が必要になってきます.その辺は,00基礎知識の解説を参照してください.
また,図式法で各節点での力の釣り合いを考えるときに,例えば上記問題のC点におけるNCGと外力Pのように,向きが逆の力が出てくる場合に,各力の大きさの大小関係がわからないと,図式法で上手く示力図を描けない場合があります.
その時は,例えば上記問題のように全ての部材の長さがわからない場合,あるいは,角度が分からない場合には,各自で適当に決めてしまう方法があります.
例えば,

 

のように,∠BAF=30°であるとか,CG材の長さをLとかにして,「三四五の定理」や「ピタゴラスの定理」の定理を使いながら図式法で求めていく方法です..
 
この節点法に関しては,非常に多くの質問が来ます.ですので,「節点法を機械式に解く方法」という資料を作成しましたので,目を通しておいて下さい(コチラ).


■学習のポイント
トラス構造物として,図式法にとらわれ過ぎないように注意して下さい.問題によっては,切断法の方が簡単に求めることができます.切断法,図式法ともに解法を理解した上で,自分で使い分けられるようになってください.使い分けられるようになるためには,過去問で練習する方法が非常に有効です.

07.たわみ

2020.11.19

部材に外力が作用し変形した時の部材中の任意の点の変位量を「たわみ」といいます.下図において,X点におけるたわみをδx(デルタエックス)といいます.


部材に外力が作用し変形した時の変形後の部材の任意の点における接線と,部材軸とのなす角度を「回転角」または「たわみ角」といいます.下図において,X点における回転角をθx(シータエックス)といいます.

この項目において,単純梁片持ち梁両端固定梁の部材中央部分に集中荷重Pが加わる形と部材全体に等分布荷重ωが加わる形,及び片持ち梁の先端にモーメント荷重Mが加わる形を「たわみ及び回転角の基本形」と呼ぶことにします.
これらのたわみや回転角を計算で求めようとする場合には,積分計算が必要になってきます.
そこで,微分・積分計算が苦手な人は「基本形」のたわみと回転角は暗記してしまいましょう!
暗記する項目をなるべく減らしたい人は,「モールの定理」のインプットのコツ内で,計算によりたわみや回転角を求める方法を説明いたしますので,そちらを参考にしてください.


ポイント1.「たわみ」「回転角」の基本形は覚えよう!
具体的には,下図に示す12個の数値を覚えることになります.


続いて,知っていたらたわみが楽に求められる知識として「マクスウェルの定理」というのがあります.

ポイント2.マクスウェルの定理を知っておこう!
A点に荷重Pが作用する時のB点のたわみδBと,B点に荷重Pが作用する時のA点のたわみδA等しくなる」という定理です.

 


ここで,過去問題を見てみましょう.上記「基本形」の数値を暗記しておけば対応可能ですね.

なお,「モールの定理(その2)」のインプットのコツの中で,「モールの定理の元になっている考え方」という積分を用いてたわみや回転角を求める方法に関して説明してある部分があります.この部分を勉強すると,たわみδとモーメントMやせん断力Qとの関係が理解できると思います.
しかし,この部分は数学の計算が得意な人以外は,あまり深入りしてはいけない危険な世界です.微分・積分などを用いた計算を行ってもいいから暗記項目を極力減らしたい人は,「モールの定理」のインプットのコツを参照して下さい.


過去問題について追加説明させていただきます.
問題コード14061,19021,27021の問題は非常に難しいです.これらは「基本形」だけでは太刀打ちできないような問題です.
また問題コード 18031は,問題コード14061と似ているなぁということを意識できたでしょうか?
事象を具現化する」ことを求められている訳です.
具体的には,「問題の架構がどのような挙動を示すか(変形をするのか)」を考え,「自分の持っているパーツ(インプットのコツで説明している各項目の重要ポイント)で対処できないか」について考えなければならないわけです.
この部分が,「たわみ項目の問題はいくらでも難しい問題を出題することが可能だよ」という背景でもあります.
構造を苦手としている人は,まずは,問題コード14061や19021,27021の問題はパスして先に進みましょう.全体の勉強を終えてから余裕があれば,再度チャレンジしてみてください.
 
なお,問題コード14061の問題は,与えられている外力が集中荷重のみであるため,モールの定理を用いても計算することが出来ます.「モールの定理(その1)」,「モールの定理(その2)」のインプットのコツを参照して下さい.


■ 学習のポイント
 
この「たわみ」については,インプットのコツで説明してある「基本形」のたわみと回転角を求めることを,確実に行えることができるようになっておいてください.その上で,問題コード14061や19021,27021のように,「基本形」に関する知識だけでは太刀打ちできない場合は「全体挙動を考える」→「その挙動の中に,基本形が含まれていないかについて考える」というような考え方をするようにしてください.
 
再度繰り返しますが,建築士の学科試験は満点を取らなくても受かることができる試験です.たわみ項目の難しい問題にとらわれ過ぎて,他の問題が時間切れになるようなことが起きないように気をつけてください.

07-1.モールの定理(その1)

2020.11.19

単純梁や片持ち梁に集中荷重やモーメント荷重が加わるときの部材の「たわみ」や「回転角(たわみ角)」を求める方法に「モールの定理」があります.
モールの定理(その1)」のインプットのコツでは,まず最初に,単純梁と片持ち梁に集中荷重やモーメント荷重が加わるときのモールの定理による計算方法を説明します.
モールの定理(その2)」のインプットのコツでは,部材端部以外に支点がある架構や連続梁に集中荷重やモーメント荷重が加わるときのモールの定理による計算方法を説明します.続いて,「モールの定理の元になっている考え方」他に関して説明します.


「モールの定理」の基本として,
 
ポイント1.「各点の回転角は,弾性荷重によるその点のせん断力Qに等しい」「各点のたわみは,弾性荷重によるその点のモーメントMに等しい」
 
ポイント2.「ピン支点,ローラー支点はそのまま」「固定端は自由端に,自由端は固定端に変更する」
 
があります. 
ここで,「弾性荷重」とは,(梁に生じる)曲げモーメントMを,その梁の曲げ剛性EIで割ったM/EIのことを指します.
言葉だけではイメージし難いので,具体例を用いて説明していきましょう.

上図のような単純梁のC点におけるたわみδC,B点における回転角θB(A点における回転角θA)を求めてみましょう.
 
手順1.M図を求めます.M図は下図のようになりますね.

手順2.上図のように,部材中の各点に発生する曲げモーメントMをEIで割った数値をM図が発生する側と逆側に荷重(弾性荷重)として作用させます.
この時に,ポイント2.に注意しましょう.上図の問題では,単純梁であるため,ピン支点とローラー支点しかないため,支点の変更はありません

外力系の釣り合いは上図のようになるため,支点反力VA=VB=PL^2/16EIとなります.
よって,A点における回転角θA,B点における回転角θB,C点におけるたわみδC

のようになります.


続いて,片持ち梁の先端に集中荷重が加わるときについて考えて見ましょう.

のような場合ですね.
手順は単純梁の場合と同様です.
M図は下図のようになりますね.

MをEIで割った弾性荷重を作用させた場合を考えて見ましょう.
ポイント2.に注意しましょう.「固定端は自由端に,自由端は固定端に変更する」とは,具体的には上図のように,弾性荷重を考えるときに,支点の状態を変更して考えることを指します.
この三角形の弾性荷重は

のように,集中荷重に置き換えて考えて見ましょう.重心位置に三角形の面積分の荷重がかかると考えればいいのです.
そうすると,A点の回転角θA,B点の回転角θB,A点のたわみδA

のようになります.問題の図において,B点は固定端であるため,B点の回転角はゼロになるのは理解できますね.


続いて,下図のように,片持ち梁の(先端以外の)ある点に集中荷重が加わるときについて考えて見ましょう.

M図は下図のようになります.

弾性荷重を考えると上図のようになることがわかると思います(支点の変更に注意!).
下図のように,三角形荷重を集中荷重に置き換えて考えると

A点,B点の回転角とA点のたわみ

のようになります.


続いて,モーメント荷重が加わるときについて考えて見ましょう.

上図のような問題ですね.
モーメント荷重が加わる場合の考え方は,集中荷重が加わるときと同様です.
まずは,モーメント図を考えましょう.

上図のように,弾性荷重を考えます.この問題の場合は,単純梁であるため,ポイント2.の支点の変更はありません
ポイント1.より,A点,B点のせん断力QA,QBを求める(=支点反力VA,VBと同じ値になります)ことにより,A点とB点の回転角θAとθBが求まります.C点のモーメントの値MCを求めることで,C点のたわみδCが求まります.

次に,この問題におけるたわみが最大の点のたわみδmaxを求めてみましょう.
δmaxはθ=0の位置であることは理解できるでしょうか.
単純梁の部材中央に集中荷重が加わる場合(このインプットのコツの一番上の図参照)を考えて見ましょう.
部材中央のC点のたわみが最も大きいことは理解できると思います.この図において,端部(A点,B点)の回転角θAとθBが最も大きく中央部C点の回転角θCはゼロであることがわかるかと思います.
 
ポイント3.たわみの最大値は,回転角がゼロとなる位置で生じる!
 
では,単純梁にモーメント荷重が加わる場合のδmaxを求めてみましょう.
下図のように,弾性荷重を考え,B点から任意の点(B点から距離xだけ離れた点をx点とします)でのせん断力Qxを計算します.

上図のように,x点より右側を考え(左側でも構いません)ます.B点の支点反力は上向きにML/6EI,弾性荷重のうち,今回対象範囲(x点から右側の部分の三角形)を集中荷重に置き換えて考えるとP=Mx^2/2EILとなります.
よって,x点でのせん断力Qxは

となり,δmaxはB点よりL/√3の位置で生じることがわかります.


下図のような片持ち梁にモーメント荷重が加わるときについてはどうでしょうか.

M図は下図のようになり,

弾性荷重M/EIは上図のようになりますね.
A点でのせん断力QAはM/EIとなり,A点でのモーメントはML^2/2EIとなることが理解していただけると思います.

以上の説明は理解できましたでしょうか.
 
モールの定理(その1)」のインプットのコツでは,単純梁や片持ち梁に集中荷重,モーメント荷重が加わる場合の「モールの定理」の計算方法について説明しました.
 
通常のテキストなどでは,「モールの定理」とは,単純梁と片持ち梁を対象とした説明になっていると思われます.しかし,この考え方を拡張すると,「たわみ」項目の問題コード14061の架構にも適用することができます.
   
それについては「モールの定理(その2)」のインプットのコツで説明します.