アーカイブ インプットのコツ

01. 用語の定義

2021.02.02
この「用語の定義」という項目については,比較的容易にマスターできるはずです.とは言え,これから始まる法規科目の「序章」として,重要な内容を含んでいます.最初は「問題と解説の1対1対応」でも構いません.ただし,法令集を引いて該当条文を確かめる時は,その条文の「文節」や,「構成」(条・項・号),「関連条文」(法→令)を意識してください

建築物」の定義(法2条第一号)は,それほど長文ではありませんが,非常に読みにくい.それは「又は・若しくは」といった「文節」が少々複雑な構成になっている点にあります.
主要構造部」(法2条第五号)は,防火関係の規定には欠かせません.「構造耐力上主要な部分」(令1条第三号)と対比で出題される事がありますが,こちらは「構造耐力」つまり構造計算に必要な用語である事が明記されているのに対して,先の「主要構造部」には「火災」と関係性がある事について直接は書かれていません(単なる「パーツ」の羅列).ところが,他の規定(特建耐火,避難施設,防火区画や防火地域など)で,どう扱われているかを見れば明らかになります.つまり,そうした関連性は,大前提として知っておく必要があるという事です.
延焼のおそれのある部分」(法2条第六号)については過去問題にもあるように,同一敷地内の複数の建築物に,延焼ラインについては「1つの建物とみなす」というケースと「別々の建物」として,その建物間に延焼ラインが生じる」ケースがあるという事が書かれています.
建築」(法2条第十三号)や「大規模の修繕・模様替え」(同条第十四号・十五号)は,確認申請(法6条)の「要・不要」の判定で,必要になります.是非,問題文を分解して見たり,条文の構成をイメージする習慣をつけてください.

■学習のポイント
「持ち込み法令集」の作成のコツは,線引きしたり,マーカーで色をつけたりする量や,貼り付けるインデックスの数を,極力減らすことにあります.最初は不安なので,余計なところにも線引きしたり,余分なインデックスを貼り付けてしまったりします.しかし,視覚的に凝れば凝るほど,時間が経つと,逆に使いにくくなってしまいます.毎日ずっと法規科目だけを集中して学習できるのであれば,ある程度,馴染む感覚は持続しますが,しばらく法規科目を学習せずに,再び,法規科目の学習に戻ったときに,迷子になったり,ただただインデックスを頼りに引いてしまい,法令集に慣れるまでの時間が必要以上にかかってしまうものです.出題意図と線引き箇所にどんな関係あるのか,法と令の構成はどうなっているのか,そういった視点で条文に接する事で,頭の中に基本的な構成がイメージとして出来上がると,それは長期記憶となり,しばらく経ってもその感覚は消えません.法令集が「補足・詳細」の位置づけになってきます(逆に,意識しないとその感覚はなかなか育ちません).その視点で,持ち込み法令集を作成されることをお奨めします.

合格ロケットでは,書籍「法規のウラ指導」を補助教材として推奨しています(オンライン講義の指定図書).法令集はどの出版社のものでも構いません.実際に手に取って,しっくり来るものを選んでください.一方,インデックスには拘って頂きたいです.「法規のウラ指導」のインデックを無料請求して実際に貼ってみると,その「並び」や「近しい関係」が感覚的に把握しやすいよう考慮されている事が伝わると思います.【こちら】

02. 面積・高さ・階数

2021.02.02
「令2条第四号」に「延べ面積」の定義があります.この中で「容積率の算定の基礎となる延べ面積(通称:算定用延べ面積)」という用語がありますので,この2つは明確に区別しておいてください.容積率の計算を行う際に,床面積の合計を延べ面積として求めますが,その際に,すべての床面積が対象となるわけではなく,一部,計上しなくてもよい部分があるのです.一方,「延べ面積が2,000㎡以上のものは・・・」という時の「延べ面積」は,建物の規模に応じて制限が掛かるような場合,つまり全ての床面積の合計が対象となります.というよりも,算定用延べ面積だけが,確認申請で容積率の記載が求められるタイミングで必要になるという事ですね.その規定が,「どのタイミングで要求されるのか」という視点も意識してみてください.
例えば,問題コード20035.これは,通称「駐車場1/5緩和」と呼ばれるものです.実務においても有効ですので,是非,この内容は暗記しておいて下さい.ここで注意する点は,駐車場部分を含めた建物全体の床面積の合計のうちの1/5を限度として「算定用延べ面積」に算入しなくてよいという事です(駐車場部分を除いた建物全体の床面積の合計ではありませんのでご注意ください).また「延べ面積」には,この駐車場部分の面積は参入されます.1度理解しておけば、なんて事の無い話ですが,勉強していると,いつの間にかゴッチャになっている事がありますのでご注意ください.

次に,問題コード01023の「高さ1/8緩和」,問題コード28024の「階数1/8不算入」も同じ「1/8」という数値に係る内容ですが全く別の規定です.こういうのは比較して併せて強く印象付けておきましょう.本当によく出題されるので,こういうのは「定番問題」として重点管理しておきましょう.典型的なポイントは,いちいち法令集を引かずとも,その内容や条文構成を頭にイメージできるようになって下さい.
後は,もくじ番号18.容積率・建ぺい率,もくじ番号19.高さ制限をマスターした上で学習して頂ければ,比較的容易に学習を進められると思われます.

■学習のポイント
こちらのオンライン講義のサンプルをご覧ください(Youtube動画 約2分)
 
法規科目が他の科目と大きく異なるのは,法令集を持ち込める事.そして圧倒的に「時間が足りない」という受験生が多いという2点です.そして,時間が足りなくなる原因の多くが「無駄引き」.つまり「法令集を持ち込める」という事が仇となって起こります.法令集を「答えを見つけるための道具」というような扱いをしていると,いつまで経っても頭の中に「法令の構成イメージ」が出来ずに,法令集を何度もめくり,インデックスを探すだけで時間がドンドン過ぎていくという状況に陥りがちです.つまり,「持ち込める」という前提は,何も本試験だけの話だけではなく,学習の取り組みにプラスにもなれば,弊害にもなるという事です.このインプットのコツでは,そういう視点も含めて,お伝えしたいと思います.

法規科目を解く場合、「答えはこの法令集の中にあるんだ!」と,問題文と条文とを照らし合わせる作業が、絶対条件かのように捉えている受験生が意外と多いです.法令集で確認しないといけないというルールはありません.それは時間が掛かるだけではなく,いつまで経っても,試験で問われる事を読み取りにくい状況を自ら作り出しているという事になります.
「問題文と法令集を照らし合わせる(条文の記述を探す)」のではなく,「出題者が聞いている事」を適切に読み取り,自分が勉強してきた知識や,頭の中に作った「条文の構成イメージ」と照らし合わせて,解答する.その意識を持ってください.

06. 一般構造

2021.02.02
この項目においては,「その条文が,何を規定している条文なのか?」を意識しながら学習してみて下さい.ここでまとめておきましょう.
 
令23条 : ここでは,「階段の勾配や幅」に関する規定が記載されています.これも製図試験対策や,今後の皆さんに要求されてくる実務的な知識として覚えておいて欲しいのですが,階段の勾配は,「踏面(ふみづら)」と「蹴上げ(けあげ)」によって決まってきます.「階段の勾配」=「蹴上げ寸法/踏面寸法」という形ですね.「踏面寸法」が大きくなれば勾配は緩やかになり,「蹴上げ寸法」が大きくなれば勾配は急勾配となります.では,設計上,階段の勾配は,緩い方が望ましいでしょうか?それとも急勾配の方が望ましいでしょうか? 「経済設計」の観点では,「急勾配」の方が望ましくなります.なぜなら,階段の勾配が「急勾配」であるればあるほど,階段の占める面積が小さくて済むからです.ただし,あまりに急勾配な階段を設定してしまうと,今度は逆に,使い勝手が悪くなりますし,転倒事故を起しかねません.そこで,基準法上では「令23条」に,「住宅の場合は,ある程度急勾配でも構いませんよ」と規定されています.また,そこには,カッコ書きで,「ただし,住宅の用途でも共同住宅の共用階段は,急勾配にしてはいけません.」とも記載されています.(「戸建住宅の階段の場合は,特定少数の人しか使用しないものであるため,急勾配でも構わない.」という解釈です.)このように,条文の意味を常識的に解釈していくようにしていけば,より記憶に定着させることができます.
  
令24条 : 踊り場に関する規定
令25条 : 階段の手すりに関する規定
令26条 : 傾斜路(スロープ)に関する規定
令27条 : 特殊用途の専用階段に関する規定
 
このように,第○条に記載されている条文の内容は何なのか?について意識して学習を進めてみて下さい.一気に暗記する必要はありません.勉強している最中に,頻出するような条番号や条文名は,意識さえしておけば自然と覚えてしまいます.
 
次に,解説集として収録されている「階段」の解説をマスターしておきましょう.この資料によって,階段の設計に関する対策は万全となります.この知識は,次の製図試験対策としても効果があります.この機会にきちんとマスターしておいて下さいね.

問題コード「01052」を見てみましょう.
 
集会場における客用の階段及びその踊場に,高さ85cmの手すりが設けられた場合における階段及びその踊場の幅は,手すりの幅が10cmを限度として,ないものとみなして算定する.
→○
 
この条文読解について「原文(令23条3項)では,高さが50cm以下のもの、とありますが、問題文では高さ85cmの手すりとなっているのはどうしてでしょうか?」というご質問をよく頂きます.頻出問題でもありますので,令23条3項を確認しておきましょう.
 
「階段及びその踊場に
手すり
及び
階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが50㎝以下のもの
(以下の項において「手すり等」という)・・・」
 
A及びBこの両方をまとめて以下の項で「手すり等」という)と読めます.ここでの設備とは「階段昇降機のレール」のようなものです.続いて
 
「階段及びその踊り場の幅は,手すり等の幅が10㎝を限度として, ないものとみなして算定する.」
 
つまり,「手すり」も「高さ50cm以下の階段昇降機のレール」も,出が10cmを超えない部分は,ないものとみなして階段・踊り場の幅員を算定してよいということになります.問題文の「高さ85cm」というのは前者の「手すり」についての寸法です.後者の「昇降用の設備」の高さは,問題文で聞いていません.
 

■学習のポイント

 
計画科目の問題コード「01081」をみてみましょう.
 
既存の中学校の校舎を小中一貫教育を行う義務教育学校に変更する計画に当たり,階段に,手摺,滑止め等の安全上の措置を講じることにより,蹴上げの高さを変更しなかった.
→○
 
この問題は計画科目で出題された場合は,それが新問でも「なんとなく○」とか「知らないけど○」と言う判断が出来ますが、仮に法規科目で出題されたとしたらどうでしょう?
手元に法令集がある事で,見つかるまで探したくなるような問題となってしまいがち(実際には「告示」の内容ですし,問題文のような具体的な計画が記載されている訳ではありません).意味合いで出題された問題を法令集で「一言一句,一致するかしないか」という探し方を始めてしまうと,瞬く間に時間が過ぎ去ってしまうので注意して下さい.毎年,多くの受験生が,そういった法規科目の時間配分のミスによりペースを乱し,切り替える事なく以降の科目へ影響を及ぼすことになります.このような場合,決して深追いしないようにしましょう.その場では仮に答えを出しておいて,他の選択枝で判断出来たり,後で時間があれば戻ってきて,一度リフレッシュしてから再度取組むのが得策です.

07. 既存不適格

2021.02.02
「既存不適格」を理解する上で欠かせないのが「法3条2項」です.「この法律・・・の施行又は適用の際現に存する建築物・・・がこれらの規定に適合せず,又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては,・・・当該規定は,適用しない.」つまり,建物が建てられた時のルールで「OK」なら,その後,法改正があり,ある規定について現行法令に適合しない状態となったとしても,OK(法改正の度に,わざわざ法適合しなくても構わない)という規定です.
 
ところが次の「法3条3項」で話が変わります.「前項の規定は,次の各号のいずれかに該当する建築物,建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては,適用しない.」つまり,「現行法令を適用する」という事です.何が対象になるかというと,第三号「工事の着手がこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の後である増築,改築,移転,大規模の修繕又は大規模の模様替に係る建築物又はその敷地」いわゆる「増改築等」を行った時は,やっぱり,建物全体を現行法令に適合させてください,という事です.これを「遡及(そきゅう)適用」と言います.
 
増築した部分は現行法令に適合させないといけないのは当たり前として,古い建物全体を現行法令に適合させないといけないなんて,それは余りに厳し過ぎる!!そのため,昔はその増築の確認申請をしないで工事する事案が見かけられましたが,これは「既存不適格」ではなく「違反建築物」となります.その建物の価値を下げるだけではなく,何らかの事故があった場合に過失を問われる事も考えられます.そこでこんな状況を回避すべく「緩和規定」が生まれました.それが「法86条の7」です.

「法86条の7」では,次の3つをチェックします.

1項.条件付きで緩和
2項.別の建物とみなす緩和(独立部分)
3項.部分で見る緩和(既存不適格を継続)
それぞれ「政令」で細かく条件が記載されていますので「法→令」の構成をみておいてください.
例えば「令137条の2(構造耐力関係)」を見てみましょう.これは「法86条の7第1項」に規定されている政令となります.
「エキスパンションで切っておけば,増築しても大丈夫だろー!」そんなルールはありません.
第一号から第三号の順に,多くの検討・計算が要求され,
第三号から第一号の順に,成立条件が難しい
と言う事は,常識的に「三号」から「一号」の順に適合をチェックする事になります.
上記の「「エキスパンションで切っておけば・・・」で済むのは,三号の条件に合致する場合のみです.

■学習のポイント
次の問題をみてみましょう.
【法規23032】
特殊建築物等の内装の規定に適合しない部分を有し,建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている延べ面積5,000㎡の病院の用途を変更して,有料老人ホームとする場合においては,現行の特殊建築物等の内装の規定の適用を受けない.ただし,大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする.
【解答】

問題文に「病院の用途を変更して,有料老人ホームとする場合」とあることから「類似用途だ!」と反応しがちですが,「確認申請が不要となる類似用途」と「既存不適格が継続となる類似用途」の似て非なる2つの類似用途があります.

「法87条」の構成を確認してみましょう.
—————-
1項:確認申請を要する用途変更
類似用途間は確認申請不要「令137条の18」
2項:用途変更に準用する規定
3項:現行法に遡及適用となる既存不適格の規定
→ 二号:類似用途間は適用除外「令137条の19第1項」
→ 三号:用途制限で所定の範囲で適用除外「令137条の19第2項」
4項:既存不適格の独立部分・準用
—————-
このように「条文の構成」を大枠でイメージするよう意識しましょう.
問題文は「現行法に遡及適用となる既存不適格の規定」に関する内容なので「法87条3項」で判断します.「3項」に記載されている条番号(法27条・・・)は,既存不適格建物に適用となる規定.逆に言うとこれら以外の規定はそもそも適用されません.更に各号の条件に該当することで適用除外となります.新築や増改築と比較すると,用途変更は相当ゆるい扱い」だと分かります(確認申請が必要なケースでも,工事が完了したら届出のみ.完了検査もありません).
 
「3項二号」条件より「当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるもの」→「令137条の19第1項第二号」で「病院」から「有料老人ホーム(=児童福祉施設等)」の用途変更をチェックします.この「類似用途」に該当すれば,「特殊建築物等の内装の規定(法35条の2)」の既存不適格について,当該規定の適用は除外(既存不適格が継続)されます.
 
注意すべきは「令137条の18」の類似用途との「勘違い・見間違い」です.仮に2つの条文を見間違えた場合,「令137条の18第二号」に「病院」は含まれず類似用途になりません.こうした条文の微妙の違いを出題者はよく知っています.これは決して「引っ掛け問題」ではありません.出題者は,双方の規定の比較・その違いの理解を確かめているわけですから.条文の構成をイメージする事で,出題の意図に迫ることができるようになります.
 

08. 申請手続

2021.02.02
この項目の補足説明する前に,確認申請の「流れ」について基本のイメージを作っておきましょう.
1.確認申請書を提出 → 2.確認済証の交付(=確認が下りる.) → 3.工事着工 → 4.工事完了 → 5.完了検査を申請 → 6.完了検査 → 7.(完了)検査済証の交付 → 8.建物の使用開始
皆さんが新しく自分の家を新築したときのことイメージしてみましょう.設計図が完成した段階で,確認申請(法6条)が必要な場合には,設計図などをまとめた「1.確認申請書」を提出します.提出先は,従来は,建築主事(市役所等の建築指導課)へと提出していましたが,現在は「指定確認検査機関」という民間に提出することも可能です.そして,建築主事(行政)や指定確認検査機関(民間)のいずれかに確認申請書の内容をチェックしてもらい建築基準法等の建築関係法令(法律上のルール)をきちんと満たしているかどうかのお墨付きを頂きます.それが,「2.確認済証」となります.建築主事又は指定確認検査機関に確認済証を交付してもらい,晴れて工事を着工することが出来ます.次に,工事が完了したとしましょう.その際には,「1.確認申請書」を提出した際に添付してあった設計図や仕様書などの内容と完成した建物の内容とが合致しているかどうかのチェックをしてもらいます.その際にも,「5.完了検査申請」(法7条)を建築主事,または,指定確認検査機関のいずれかに行い,「6.完了検査」を受けることになります.その完了検査のチェックにパスすると「7.(完了)検査済証」を交付してもらえます.この「7.(完了)検査済証」を交付してもらいようやく新居に入居することができるのです.

さて,「建築主事と特定行政庁の違い」ですが,「建築主事」とは,行政側にいる建築の専門家だと理解して下さい.(全般に関して言えることですが,あくまで学科試験対策向けに建築知識を分かりやすく説明するための説明内容だと考えて下さい.)

「特定行政庁(法2条三十五号)」については,例えば,ある村があって,その村に,専属の建築主事(建築の専門家)がいれば,その村の村長さんが,「特定行政庁」となります.もし,その村に専属の建築主事が存在しなければ,都道府県知事が「特定行政庁」となります.そのため,「建築の専門家」で判断できるような内容の許可申請,または,届出先は,「建築主事」となり,建築だけの視点ではなくより広範な行政的見地からの判断が必要な場合の許可申請,または,届出先は,「特定行政庁」となります.

法6条には,確認申請について規定されており,「申請義務が発生する建物(=確認申請書を提出しなければならない建物)」について定められています.ここで,「法6条各号の区分については,暗記してしまいましょう(法規科目で数少ない暗記項目と割り切ってください).

 
法6条一号(通称:一号物件) 特建200㎡超え 
法6条二号(通称:二号物件) 木造 3以上の階を有する,500㎡,高さ13m,軒高9m超え
法6条三号(通称:三号物件) 非木造 2階以上,200㎡超え
法6条四号(通称:四号物件) これら以外の都市計画区域内建築物
 
二号物件は,木造の建物に関する規定であり,ここに出てくる「高さ13m,軒高9m」という言い回しは,今後も頻繁に出てきます.したがって,「木造の建物で,高さ13m,軒高9mを超える建物は,注意して設計・監理する必要がある物件なんだな.」と理解しておいてください(ちなみに,軒高が,建物高さを超えることはありません).
 
一号~三号物件に該当しなくとも,都市計画区域内の建物は,ほとんどが四号(通称:四号物件)に該当します.ただし,四号物件の場合は,確認申請書に必要な添付図面の種類が少なくて済みます.一号~三号物件の場合「建築」と「大規模の修繕・模様替」について申請が必要ですが四号物件は「大規模の修繕・模様替」については,申請が不要となります.これは定番問題ですので,併せて覚えておいて下さい.

中間検査」(法7条の3)について補足説明しておきましょう.旧来は,確認済証の交付を受け,工事を着工し,工事が完了した後に,工事完了申請を提出し,完了検査を経て,検査済証を交付してもらう流れでしたが,この流れですと例えば,完了検査の時点で法令違反などの問題が発覚した場合,既に,完成してしまっている建物を壊して法基準を満たす形に作り変えることになります.また完了時には隠れて見えない部分についても,途中の段階で見ていれば修正可能だった不具合部分も,その時点で是正することが可能です.そこで,「特定工程」が定められます(「階数が3以上である共同住宅」という具体的な規模用途が記載された点に注意してください).建物の構造や規模にもよりますが,例えば,基礎の配筋完了時が「特定工程」として指定されている場合には,基礎の配筋という工事工程が完了した時点で,「中間検査の申請」を行い,「中間検査のチェック」を受けた後出なければ次の工事工程に進めません.つまり,工事を進めることができないということです.尚,中間検査の申請先も,確認申請や工事完了申請と同様に,建築主事でなく,指定確認検査機関にお願いしても構いません(法7条の4).


仮使用」については,先述の通り,本来は完了検査済証を発行してもらわなければ,例え,建築主であろうと勝手に建物を使用することが出来ません(法7条の6).違反建築物として工事が完了してしまっている可能性もあるからです.建築主は,建築については素人でもあるので,自分が建ててもらった建物が違反建築物であるかどうかどうかの判断を適切に下すことができません.仮に,建築主自身が違反建築物であることを知った上でその建物を使用し,万が一事故が起きても自業自得ですが,そこに,建築主以外の第三者が違反建築物だと知らずに利用して,例えば,いきなりデパートや映画館の床が抜けて命を落とすことになったとしたら,社会的に大問題となってしまいます.ただし,法7条の6では,ただし書きで特例を設けてあります.その特例とは,例えば「特定行政庁が安全上,防火上,避難上の観点から考えて,完了検査済証が発行される前でも使用(=仮使用)してもよいと認めた場合」です.(平成27年の改正で「建築主事」と「指定確認検査機関」も所定の範囲で仮使用を認定することができるようになりました).


「仮使用」(法7条の6)と対比で覚えておきたいのが「安全上の措置等に関する計画の届出」(法90条の3)の話です.この規定は,一見,「仮使用申請」の話と似ていますが,全くの別モノだと考えて下さい.所定の建築物の場合,工事の施工中に建物を使用する場合には,仮使用申請とは別に,この「安全上の措置等に関する計画の届出」を特定行政庁に提出する必要があります.「仮使用申請」とごっちゃになって考えてしまう受験生も多いので,注意して下さい.以上を踏まえた上で,収録されている問題を解いて頂ければ,この項目の対策も万全でしょう.


定期報告」(法12条)について,以前は,定期報告の実施要請を無視する建主や,精度の低い報告が少なからずいましたが,違法な増改築や,エレベーターによる死亡事故,遊戯施設による死亡事故などが起こり,運用の厳格化が行われました.また実際に健全な社会ストックの拡充という観点からも,注目される制度です(そういう観点からも出題は多い).建築物で言うと同条1項は「政令で定めるもの」と「特定行政庁が指定するもの」の2つあります.従来は,後者だけの規定だったのですが,現在は,全国共通で指定される用途・規模については「政令」で定めて,それから漏れたものを補完できるよう各地の行政庁が独自に指定する,という立て付けになっています.

最後に「用途変更」について簡単に説明します.法87条に,「建物の用途を変更して,変更後,法6条一号条件に該当する建物(=一号物件)となる場合には,用途変更による申請義務が生じる.」とあり,また,カッコ書きで,「類似用途(=映画館から劇場への用途変更というような同じ内容の用途への変更をいう)の場合は,用途変更による申請義務は発生しませんよ.」と規定されているわけです.類似用途(通称:類似特建)かどうかについては,令137条の18でチェックします.あとは,解説を読んで頂ければマスターできるはずです.要は,映画館として設計した建物の場合は,映画館という用途を踏まえて必要となる関係法令が適用され,それらの規定を全てクリアーした上で存在しているわけだから,類似用途である劇場に変更したところで,必要となる関係法令は,全てクリアーできているものとみなせるわけです.ただし,劇場からデパート(物品販売業を営む店舗等)への用途変更の場合は,劇場という用途について要求される関係法令と,デパートという用途に対して要求される関係法令は,全く異なる内容のものですので,その場合は,再度,確認申請を行って,デパートという用途に要求される関係法令を全て満たしているかどうかのチェックを受けなさい,という話ですね.

■学習のポイント 
問題解説を読み,条文で確かめるという手順で学習を進めてください.解説部分で条文の意味を先に学び,その内容がどのような形で条文で表記されているかどうかをチェックしていくような手順です.勿論,慣れてくれば,毎回引く必要はありませんし,問題文がそのまま条文の内容で「○」という出題については,深追いする必要はありません.一方で,構成や文節が複雑で,その意味をダイレクトで理解することが難しい条文もあります.特に,それが頻出して出題されている条文の場合は,解説を読み,条文を眺め,また,解説を読むといったように繰り返し進めていきましょう.市販の解説書やネットで調べても構いません.ここでもう一手間です!自分で調べた事が「条文でどう書かれているか」を確認してください.その解説書は,試験当日持ち込む事はできませんが,条文を見れば「ここに,こんな事が書かれている」という事が甦る状況を作っておければ,それは法令集で代用できます(法令集は持ち込めるのですから).
大事なのは「法令集に細工する事」ではなく,「法令集で条文を見れば,構成や出題のポイントが分かる」と言う事を試験までに準備しておくという事です.全ての条文は必要ありません.様々な切り口で出題される条文だけで構いませんので,その意識で挑みましょう.

09. 構造

2021.02.02
この項目については,全体を意識しながら条文の位置づけを確認していきましょう.そのためにも「章・節・款(かん)といった法令の基本構成を意識するようにしてください.とても大事な話です.法令集は小難しい文章で書かれていますが,ちゃんとグルーピングされています.後は読む側の問題です.
最初は「施行令第三章・第1節・令36条から始まるいわゆる「構造仕様規定」です.例えば「第2節・令38条」では「基礎については,このような仕様にしなさい.」とか,「第6節・令77条」では「鉄筋コンクリート造の柱はこのような仕様にしなさい.」といったように建物の部位や,構造別に,仕様に関する話が細かく規定されています.このように,「○○造の場合の△△の部分は,このような仕様にしなさい.」という仕様規定が並びます.その範囲は第7節の2まで

次に,「第8節」の「構造計算」です.「第1款・令81条」にある「構造計算方法の種類」について見てみましょう.

1項:超高層用の構造計算(=計算が非常に複雑で難しい.計算難易度が非常に高い.)
2項
 第一号イ:保有水平耐力計算(=計算が比較的複雑で難しい.計算難易度が高い.)
 第一号ロ:限界耐力計算(=計算が複雑で難しい.計算難易度が高い.)
 第二号:許容応力度等計算(=比較的簡単に計算できる.計算難易度が低い.)
3項: 令82条各号+令82条の4(=簡単に計算できる.計算難易度が低い.)
 
計算の難易度についてですが,例えば,「許容応力等計算」については,比較的,計算難易度が低いため,計算の精度は低めです.逆に,「限界耐力計算」については,計算難易度が高いため,計算による精度が高いものと考えます.「保有水平耐力計算」は基本的に「許容応力度計算」の延長上にある高度な計算と考えてください.「超高層用の構造計算」については,超高層建築物(ここでは60mを超える建築物を言います)で,この計算方法を採用します.そのため計算難易度は非常に高く,計算も複雑です.その代わり,計算精度は非常に高くなります.

「令36条1項」では「耐久性等関係規定」という用語が定義されています.この「耐久性等関係規定」とは,「構造仕様規定」のうち,極めて重要な規定と解釈してください.「構造仕様規定」のうちの一部が,「耐久性等関係規定」です(包含関係).そして,難易度の高い(=精度の高い)構造計算により,計算した場合には,構造仕様規定を全て満たさずとも「耐久性等関係規定」だけを満たせばよい(=構造計算で安全性を担保している)ことになります(耐久性等関係規定「以外」の構造仕様規定は,適用除外).


■学習のポイント
 
全体の構成は,次の通りです.法令集の3箇所のページを指で挟んで,行ったり来たり見てください.
法20条第一号 - 令36条1項 - 令81条1項(超高層)
法20条第二号 - 令36条2項 - 令81条2項(比較的大規模)
法20条第三号 - 令36条3項 - 令81条3項(中規模)
法20条第四号 - 令36条3項 ※構造計算なし(小規模)
 
法20条第一号は,高さが60mを超える建物が対象です.「政令で定める技術的基準」とは令36条1項の構造方法,「政令で定める基準」とは令81条1項の構造計算を指します.令81条1項の超高層の構造計算を行った場合でも,令36条1項の「耐久性等関係規定」には適合する必要があります.ここは大丈夫ですね.
 
法20条第二号は,60m以下の建物で大規模のものが対象です.「法6条1項第二号に該当する木造のうち,高さ13m超えか軒高9m超え」以外は,次の第三号の対象となり,「法6条1項三号に該当するもののうち①階数が4以上のS造,②20m以上のRC造or20m以上のSRC造,③その他これらの建築物に準ずるもの(=令36条の2)」以外は,次の第三号の対象となります. 法20条第二号で対象となった大規模の建物は,令36条2項の基準と令81条2項の構造計算の組み合わせが必要です.(+「令36条の2」もこのグループです)
 
法20条第三号は,上記の第二号に該当しない「構造計算が必要な建築物」です.条文中のカッコ書き「前号に掲げる建築物を除く」がポイントです.法6条1項第二号に該当する木造の場合,前号に該当しない「3以上の階を有する」「延べ面積が500㎡を超える」ものが対象になります.
 
法20条第四号は,原則として「構造計算の義務のない建築物」となります.第四号ロに「前三号に定める基準のいずれかに適合すること」とありますが,これは第一号から第三号まで高度な構造計算で安全を確認する方法を選択してもよいということです.第二号ロ,第三号ロも同様の表記ですね.

次に「令82条」以降を解説します.令82条の条文名が「保有水平耐力計算」となっていますが,このことで多くの受験生の皆さんが混乱することとなります.令82条前段に「・・・保有水平耐力計算とは,次の各号及び次条から第八十二条の四までに定めるところによりする構造計算をいう」とあります.

「次の各号(=令82条各号)」を「許容応力度計算」といいます.つまり,
令82条各号「許容応力度計算」
令82条の2「層間変形角」
令82条の3「保有水平耐力」
令82条の4「屋根ふき材等の計算」
この一連の計算(第1款の2)が「保有水平耐力計算」であることを示しています.
 
また,もう1点わかりにくいと思われる点が,
「許容応力度計算」(令82条各号)と
「許容応力度計算」(令82条の6)
は違うという点です.令82条の6をご覧ください.
 
令82条各号「許容応力度計算」
令82条の2「層間変形角」
令82条の4「屋根ふき材等の計算」
+剛性率 +偏心率
この一連の計算(第1款の4)が「許容応力度等計算」であることを示しています.
 
中規模で構造計算が必要な建築物の場合,
令法20条第三号 - 令36条3項 - 令81条3項
このケースに必要な構造計算は
令82条各号「許容応力度計算」
令82条の4「屋根ふき材等の計算」
となります .(いわゆるルート1)
 
この「許容応力度計算」がどんな事をやっているか「令82条各号」を見ると
第一号:「第2款」に規定する荷重及び外力より部分に生じる力を計算
第二号:部分の断面に生じる「長期・短期の応力度を計算
第三号:第一号の部分ごとに、第二号で計算した各応力度が「第3款」の各許容応力度」を超えない事を確かめる
(第2款と第3款も、ザっとみてみましょう)
 
細かいケースの判断は試験で問われることは難しいと考えられますので,まずは大枠を把握するイメージを作ってください.
そして,問題文が「どの状況・どのタイミングの話なのか」を条文と照らし合わせてイメージを作っていくようにしてください.
 

10. 耐火構造等

2021.02.02
この項目では「耐火構造に要求される耐火性能」や,「準耐火構造に要求される準耐火性能」などについて学習していきます.
「令107条」の「耐火性能」は,
1.非損傷性通常の火災により,構造耐力上支障のある損傷にならないこと=火災により壊れないこと)
2.遮熱性(通常の火災により,その熱が建物内の他の部分へと伝わらないようにすること)
3.遮炎性(屋内において発生する通常の火災により,建物の外へ炎を出さないこと)
の3つの視点から性能が定められています.
 
ここで,これらの性能について考えてみましょう.1.非損傷性についは,文字通りですね.火災が起きた際に簡単に建物が崩壊してしまったら,避難が完了する前に人命が奪われてしまいます.2.遮熱性は,外部の火災の影響で外壁の内側の可燃物が「高温の熱」により燃えてしまわないようにします.屋内の火災により,建物内部で延焼しない場合も同様です.3.遮炎性というのは,屋内で火災が起きた際に,建物の外に炎が出て他の建物に燃え移らないようにしなさいというものです.
 
「令107条の2」の「準耐火性能」は,先の「耐火性能」と同様に,3つの性能が要求されています.「令108条」の「防火性能」は,1.非損傷性,2.遮熱性2つの性能が求められています.
まず,これらの「耐火性能」「準耐火性能」「防火性能」の構成(位置づけ)はしっかり頭に入れてください.
 
改めて,それぞれの条文の言い回しをチェックしてみましょう.
耐火性能基準」と「準耐火性能基準」においては,1.非損傷性2.遮熱性については,どちらも「通常の火災による加熱」についての話です(屋外・屋内の両方の火災が対象).3.遮炎性については,どちらも「屋内において発生する通常の火災による火熱」についての話となります.「防火性能基準」の場合は,1.非損傷性2.遮熱性の2つの性能しか求められませんが,そのどちらも「周囲において発生する通常の火災」とあります.これは,「防火構造(法2条第八号)」という概念そのものが,「周辺の建物に火災が起きた際に,自分の建物に燃え移らない(=延焼しない)ということ」を目的としているからです.そのため,防火性能には,屋内での火災を前提とする「3.遮炎性」の考え方はありません.対象となる建築物の部分も「外壁と軒裏」だけです.
 
次に,「耐火建築物」とは何か?について.
「法2条第九号の二」に,「耐火建築物=主要構造部を耐火構造(または,政令基準に適合する主要構造部「外壁の開口部で延焼のおそれのある部分にあるものを防火設備」とあります.
「耐火構造」については「法2条第七号」に「主要構造部が耐火性能(建築物の倒壊及び延焼を防止する性能)の基準を満たすもの」
ここでの着目点は「倒壊」です.耐火構造には,所定の時間,火災で燃えても構造体(フレーム)として残る(=倒壊しない)という性能が要求されています.ちなみに「準耐火構造(法2条第七号の二)」では,この表記はありません.このため以前は,「木造」で耐火建築物を建てるという事が非常に難しかったのですが,近年では,その性能において安全性が確かめられれば,仕様規定とは異なっても大丈夫(木造で建てられる)というルールがあります.
この「政令基準に適合する主要構造部」という部分について補足説明しておきます.これを通称「みなし耐火構造」といいます.耐火構造と同様の性能を有するものとして,耐火構造ではないものの,耐火構造とみなして規定を適用します.
 
「令108条の3」では,「主要構造部が所定の基準を満たすものとして,1.耐火性能検証法により確かめたもの2.大臣認定を受けたもののいずれかの場合であれば,その主要構造部をみなし耐火構造として扱っていいですよ.」といったような話となります.
主要構造部をみなし耐火構造として扱ってもらえれば,あとは,「外壁の開口部で延焼のおそれのある部分にあるものを防火設備」にすれば,法2条九号の二の規定を満たすことになり,基準法上,「耐火建築物」として扱うことができるのです.必要とされる基準を明確化し,その基準をきちんとクリアーできる性能さえ確保できれば,設計の自由度が高い建築物が出来るという考え方ですね.

■学習のポイント

問題コード「01011」を見てみましょう.「建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能を,「準防火性能」という.」とあります.この類の問題文を読む時のコツは「1.どんな火災」「2.どの部分」「3.どんな性能」を意識する事.例えば「準防火性能」の条文や位置づけがピンと来なくても「防火性能に準ずるはずだから,外壁が建物の周囲の火災を受けた時に,「非損傷性・遮熱性」が2つが要求されるのでは・・・」と,ある程度学習が進むと,その組合せの食い違いで法令集を引かずとも条文の構成イメージで,「○か×か」は判定する事が出来るようになってきます
「耐火性能・耐火構造・耐火建築物」など,似たような用語が多く,紛らわしく感じられるかもしれませんが,まずその3点を意識して,キチンと整理して,体系的に学習していってください.
 

12. 防火地域

2021.02.02
最初にこの項目で学習する内容の概略を簡単にご説明しておきます.
まずは,「防火地域」と「準防火地域」という2つの地域が存在することから理解して下さい.これらは,都市計画の観点から定められています.
「法61条」は「防火地域及び準防火地域内の建築物」に関する規定であり,ここから「政令で定める技術的基準」の「令136条の2」に飛びます。
 
以前は「防火地域にはこんな建物を,準防火地域にはこんな建物を」という表記でしたが,現行の規定は,各号で「防火地域・準防火地域にあるこの規模の建物は耐火建築物等,準耐火建築物等」というような並びになっています.
例えば,「防火地域」内では,「1.階数が3以上」「2.延べ面積が100㎡を超える」のうちのいずれかに該当する場合は,耐火義務(=耐火建築物等としなければならない)が発生します(第一号).それ以外の場合でも,「準耐火義務」が発生します(第二号).つまり,「防火地域」の場合,「第一号か第二号のいずれか」に該当します.一方,「準防火地域」内の建物は,「第一号から第四号」に振り分けられます.
—-
第一号:防火地域・準防火地域内の耐火建築物等
第二号:防火地域・準防火地域内の準耐火建築物等
第三号:準防火地域内の,外壁防火の木造(外壁,軒裏・延焼ラインの開口部)
第四号:準防火地域内の,その他の非木造(延焼ラインの開口部)
(第五号:2mを超える門・塀)
—-
まずは大枠で捉えてください.

第一号」は,「防火地域内の建築物(小規模を除く)」や「準防火地域内の大規模な建築物」が対象です.
これらの条件に該当すると「次のイ又はロのいずれかに掲げる基準」に適合しなければなりません.
「イ」は,平たく言うと「耐火建築物」
「ロ」は,イと同等以上の「通称:延焼防止建築物」です.
 
細かくは「告示194号第2」に記載されていますが,ある程度の規模の建物については,防火上,外皮(外壁・屋根)を強化する事で,耐火建築物でなくても構わない(同等の扱いとなる),というものです.ここで注意したいのは,「どんな建物も,延焼防止建築物に出来るわけではない」という事です.先に述べたように「ある程度の規模の建物」が条件になりますので,条件を満たせない規模の建物は「イ又はロ」のうち「ロ」は選べません.つまり,「イ」の「耐火建築物にせざるを得ない」という事になります.この認識は間違えないようにしてください.

第二号」も構成は同じです.「防火地域内の小規模建築物」や,「準防火地域内の所定の規模の建築物」が対象です.一号同様に「イ又はロ」とあり,
「イ」は,平たく言うと「準耐火建築物」
「ロ」は,イと同等以上の「通称:準延焼防止建築物」です.
 
ここでも注意点があります.例えば,一般的な「準防火地域にある,木造の地上3階建ての戸建て住宅(150㎡程度)」は,どんな規制が掛かるかと言うと,「第二号」にある「準防火地域内で,地階を除く階数が3で延べ面積が1,500㎡以下のもの」に該当します.この時に「イ」の準耐火建築物にしなければならないかというと,「告示194号第4第一号」の基準に適合すれば,「ロ」の「準延焼防止建築物」とする事ができます.つまり「準耐火建築物」にしなくても構いません.この規定は,法改正前には「政令」で定められており「通称:政令基準建築物」と言われていたもので,昔も今も,この規模の建物ではごく一般的な規定と言えます.ところが条文の構成が変わり,詳細の仕様が,政令から告示へ移動した事から,複雑な仕組みに見えてしまいます.

第三号」は,「準防火地域内にある小規模の木造」が対象です.「第四号」は,その「非木造」.
ここでの注意点は,外壁開口部設備の性能に「加熱開始後20分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る)に火炎を出さないもの」が要求されます.耐火建築物等の外壁開口部設備に要求される「遮炎性能(両面20分)」に対して,ここでは「通称:準遮炎性能(片面20分)」となります.あえて「通称」を付けたのは,以前は政令で定められていた用語だったものが,現行法では無くなったからです.

■学習のポイント
 「法61条」からその政令基準へ.「令136条の2」では,①.「防火地域・準防火地域内の耐火建築物」,②.「防火地域・準防火地域内の準耐火建築物」,③.「準防火地域内の小規模の木造」,④.「準防火地域内の,小規模の非木造」に分けられるという条文の構成を理解しましょう.告示の話はいったん置いておき,「法と令」の関係性と構成を理解する事から始めてください.
問題文の設定が「どんな状況か,どの分類か」をイメージした上で,法令集で確かめるという手順です.「条文と一言一句照らし合わせる」という作業をしてしまうと,何をどう見て良いのか分からなくなります.ましてや「本試験中に条文読解は,御法度」です.条文の構成だけは,頭に入れておくようセットアップしておきましょう.

13. 防火区画

2021.02.02
あらかじめこの項目で学習する内容の概略について,みていきましょう.
まず「防火区画って何?」という話から.1つ前の項目である「防火地域」の規定が,外部からの建物への延焼を防ぐ(=隣の建物に火災が起きた際に,自分の建物に延焼されない)ための規定だとすると,この「防火区画」の規定は,「自分の建物内で起きた火災が,建物内の他の部分に延焼していく(=燃え広がっていく)ことを防ぐための規定」と言う事になります.たとえば,自分の建物内のあるフロア(階)を,Aブロック,Bブロック,Cブロックと3つのブロックに区画したとしましょう.その場合,Aブロック内で火災が発生したとしても,区画しておけば,B,Cブロックに延焼することを防ぐことができます.これが,「防火区画」についての基本的な概念となります.

次に,防火区画の種類について,区画の仕方(=ブロック分けの仕方)によって,次の4種類に分けられます.

—-
1.面積区画 (1項~6項) → 所定の面積ごとの区画
2.高層区画 (7項~10項) → 高層階における面積ごとの区画
3.竪穴区画 (11~15項) → 階段や吹抜け等の部分と他の部分とを区画
4.異種用途区画 (18項) → 建物内の用途が異なる場合に区画
—-
(オマケみたいなもので「無窓居室の防火区画」という規定もあります)
さて,実務でも「防火区画といえば令112条」と即答できるようになっておくと便利です.また,学科試験対策においては,それぞの区画に関する規定が,112条の何項に規定されているのか(位置づけ)を暗記しておくと,これまた非常に便利です.法令集を確認する手間もかかりませんので,時間短縮にも有効です.

それでは ,区画の仕方についてみていきましょう.これも暗記です.
—-
1.面積区画 
  1時間準耐火基準の準耐火構造の壁・床又は特定防火設備
2.高層区画  
  耐火構造の壁・床又は防火設備(緩和の場合は,特定防火設備)
3.たて穴区画 
  準耐火構造の壁・床又は防火設備(遮煙)
4.異種用途区画
  1時間準耐火基準の準耐火構造の壁・床又は特定防火設備(遮煙)
—-
ここで,準耐火建築物について復習しておきましょう.準耐火建築物には,ザックリ次の4種類が存在します.これも暗記しておいて下さい.この内容を理解できているかどうかによって法規科目の理解度に大きく影響します.
準耐火建築物は
(イ-1) 1時間準耐火基準のイ準耐
(イ-2) イ準耐(45分)
(ロ-1) 外壁耐火のロ準耐
(ロ-2) 不燃ロ準耐
準耐火建築物のうち, 「1時間準耐火基準のイ準耐」と「不燃ロ準耐」は,性能が高く,「イ準耐(45分)」と「外壁耐火のロ準耐」は,性能が低い準耐火建築物である(だから4項では,防火上主要な間仕切壁の制限も付加される)と便宜上覚えておいて下さい.こう理解しておけば,面積区画の4項(500㎡区画),5項(1,000㎡区画)の分類が条文から読めるはずですし,「通常火災時間時間が1時間以上」や「特定避難時間が1時間以上」の建築物は,当然,5項に該当する(耐火建築物ではない)建築物となります.

最後に,「16項」の「接壁」について補足説明しておきます.この接壁とは,次のようなイメージです.

上図のように,せっかく防火区画をしても建物の外から開口部等を通じて火が廻り込んでしまえば,区画した意味がなくなってしまうため「接壁」を設けるわけです.これは,製図試験においても学習する話でもあります.
以上の内容を踏まえた上で, 解説を読んだ時に,一旦,条文の構成を思い浮かべながらら進めていってください.そのうち,問題文を読んだ時にも,その条文の構成が浮かぶようになってきます

■学習のポイント
「令112条」は,法改正によってドンドン変わっていきます.ただし,骨子はそれほど大きく変わっていません.細かい点はさておき,大枠で4つの防火区画でまとめる視点を.少しずつに細かい話に入っていく事に注意してください.複合的な条文を1つ1つ順番に完璧に理解しようとすると,分からなくなってしまいます.この項目に限った事ではありませんが,まずは1巡を通して,全体像の把握(構成の理解)を中心に進めていきましょう.最初から100%理解を目指してしまうと,途中で頓挫しがちです.2巡,3巡と進めるに連れて,分厚く,全体が繋がっていくイメージを持つような学習スタイルを構築していってください
 

14. 内装制限

2021.02.02
まず,「内装制限って何?」についてですが,内装制限とは,壁や天井の仕上げを燃えにくい材料で計画するものです.例えば建物内で火災が発生した際に,来館者が安全に建物の外部へと避難できるように計画しなければなりません.そのためには,燃えやすい仕上げを使用して場合,避難を完了させることが出来ないかもしれません.この「在籍者の避難を完了させる.」というのは,次の項目で学習する「避難関係規定」の前提とも言える話ですので覚えておいて下さい.さて,内装制限をマスターするには,次の図のようなイメージを頭に浮かべるようにする理解しやすくなります.
 
 
上の図のように,「居室部分」と「通路・廊下部分」とに分けて考えるようにして下さい.次に,内装制限は,以下の6種類あると考えて下さい.
 
1.特建内装 所定の特殊建築物に適用される内装制限
2.車庫内装 車庫の用途に供する特建に適用される内装制限
3.地下内装 所定の特建を地階に設ける場合の内装制限
4.規模内装 所定の規模の建築物に適用される内装制限
5.無窓内装 窓の無い居室に適用される内装制限
6.火器内装 調理室などを設ける場合に適用される内装制限
 
チェックの仕方は,一般的には,令128条の4で内装制限が適用されるかどうかの条件を確認し,令128条の5においてその具体的な内装の仕様を確認するという要領ですが,ここで大事なのは,その条文の構成です.上記の6つの内装は次のように対応が取れています(お手元の法令集で条文の繋がりを確認してください).
 
1.令128条の4第1項一号(特建条件) → 令128条の5第1項(特建内装
2.令128条の4第1項二号(車庫条件) → 令128条の5第2項(車庫内装
3.令128条の4第1項三号(地下条件) → 令128条の5第3項(地下内装
4.令128条の4第2項,3項(規模条件) → 令128条の5第4項(規模内装) 
5.令128条の3の2(無窓条件)    → 令128条の5第5項(無窓内装
6.令128条の4第4項(火器条件)   → 令128条の5第6項(火器内装
 
令128条の5第1項と第4項(上記分類の1.と4.)については,上記挿絵のように居室と通路・廊下で扱いが異なるということで,1.(特建内装)も4.(規模内装)も居室については,原則「難燃材料」,通路・廊下については「準不燃材料」を原則とします.本来ならば,4項の仕上げは「第1項に掲げる仕上げとする」で良いはずですが,1.(特建内装)の居室で1項一号イのかっこ書きの場合を例外とするため,このような条文の書き方になっています.法令では,既に1度書かれたものについては,後で同じ事を書かない(省略して書く)というルールだからです.
 
1項一号イ ←(対応が取れている)→ 4項一号
1項一号ロ ←(対応が取れている)→ 4項二号
1項二号イ ←(対応が取れている)→ 4項<第1項二号イに掲げる仕様>
1項二号ロ ←(対応が取れている)→ 4項<第1項二号ロに掲げる仕様>

■学習のポイント

そもそも,上記の話は「法35条の2」と繋がっている事を確認しましょう.令128条の4各項の条文の終わりが「・・・以外のものとする」となっているのは,法35条の2で「政令で定めるものを除く」となっているからです(二重否定=肯定と考えるとわかりやすいでしょう).このように条文の繋がりを意識するのは,全体を把握するのにとても効果的です.
 
法規科目は暗記科目です.数字や文章ではなく「構成」の暗記です.
  
この「内装制限」は,「法令の構成」を意識付けするのに,非常に適しています.「この問題文は,全体の中のこの位置づけ」とか「出題者は,これとこれの違いを聞いている」という事が読み取りやすくなってきます.ある程度,その関連性が見えてくると,例えば,法令集をマーカーで丁寧に色分け等していなくても,その関連性を浮かび上がらせて(又は自ずと浮かび上がって)見えてくるようになります.そして,構成(フレーム)が頭の中で出来てくると,自ずと数値や用語もインプットしやすい状態になってきます.それもこれも,「まずは構成を意識する事から」です.
 

15. 避難施設

2021.02.02
まず,解説集として収録されている「避難施設」の解説を見てみましょう.そこに,「避難階」,「直通階段」,「歩行距離」,「重複距離」という用語の意味を分かり易く解説してあります.これらの考え方は次のステップである製図試験においても求められる知識ですので,この機会にきちんと身につけておいてください.では, 「避難」というものを考えてみましょう.「ある階における避難」とは,居室からスタートして廊下を経て,直通階段に到達し(ここまでが歩行距離:所定の距離以下としなければならない),さらに,直通階段を経て避難階(通常は地上1階)へと到着,さらに,建物の外部への出入口を通って(この1階での直通階段の入口から,建物の外部への出入口までの距離が避難階における歩行距離となる),さらに,建物の外部出入口から敷地内通路(原則,幅1.5m以上必要)を経て,道路又は広場に到達し,ようやく避難が完了します.ここまでのイメージを頭の中に浮かべるようにして下さい.例えば,敷地境界線と建物との離れの部分は,全て敷地内通路に該当すると考えてしまう受験生も少なくないのですが,あくまで,上述の避難経路となっていなければ,敷地内通路とはなりません.

さて,この項目において,廊下の幅に関する規定から学ぶことになります.廊下も避難経路となる部分ですので,基準法上その幅について定められています.次に,「歩行距離」について学びます.歩行距離には,1.避難階以外の階の場合(15階で扱いが変わる),2.避難階における場合,3.地下街における場合の3種類があると考えて下さい.
 
問題コード21201について補足説明しておきます.解説集として収録されている「避難施設」の解説においても説明してありますが,本来は,各階から直通階段の1つに至る避難経路を確保しなければなりませんが,メゾネットタイプの場合は,階ごとに玄関を設けたりしませんので,所定の条件(歩行距離を40m以下)を満たせば「その階に住戸の出入り口が無くても良い」という緩和の話です.決して「距離」の緩和ではありません.

次に,「2直階段」を学びます.「2直階段」とは,所定の条件に該当する場合は,2以上の直通階段を設置しなさいというものです.その条件も慣れてくると暗記できてしまいます.基本的には,特建の用途ごとに定められている条件をチェックし,次に,建物の規模により定められている条件をチェックします.そのいずれの条件もクリアすることができれば,「2直階段の設置義務」は発生しません,といった話です.ここでのポイントは「令121条」は「一号~五号」と「六号」を分けて考える事(ダブルチェックが必要)です.「避難階段」や,「特別避難階段」については,どのような条件の直通階段を「避難階段」や「特別避難階段」にしなければならないのかということと,「避難階段」や「特別避難階段」にした場合には,どのような仕様にするのかといった点に注意しましょう基本的な事項がよく問われます).

最後に, 「避難」に関連するその他の規定を学習します.例えば,「排煙設備」,「非常用照明」,「非常用進入口」の話となりますが,これらに共通するのは,まずは,「設置基準(設置義務が発生する条件)」を抑えること,その隣の条文には,設置する場合にどういった仕様(構造)で設置すればよいのかという条件が説明されているという流れとなっています.

 
排煙設備  :令126条の2(設置・建物条件)→令126条の3(構造) 
非常用照明 :令126条の4(設置・居室条件)→令126条の5(構造)
非常用進入口:令126条の6(設置・階条件) →令126条の7(構造)
 
また,この3つの規定の条件は,どんな建築物(建築物の部分)が対象になるのかを比較してみてください.条文を繋がりで理解する習慣を身につけることで,しばらく法規科目から離れていて内容が曖昧になっていたとしても,早い時間で感覚を取り戻すことができます.

■学習のポイント

近年の性能規定化の流れに伴って導入された「避難安全検証法」について考えてみましょう.基本的な考え方としては,「火災発生」→「煙が天井にドンドン溜まる」→「煙が人の高さまで降下する」この時間よりも,「人が安全な場所まで逃げきる」時間の方が短ければ安全となります.通称「避難時間判定法(ルートB1)」と言います.
この時,煙降下に影響する要因(可燃物量,内装の仕上げや排煙設備の有無等)と,人の避難に影響する要因(在館者密度,歩行速度,歩行距離,扉の数等)が,たとえ規定の数字を超えていても,検証により安全性が確認されれば,その規定は適用除外となります.
「適用除外だから歩行距離は無視してよい」のではありません.「基準より長い歩行距離で計算しても安全性を確認できた(性能が満たされているので,その仕様は適用除外)」という事です.イメージの順番を間違えないようにしましょう.
 
次に「避難安全検証法」には,3種類があります.
区画避難安全検証法(令128条の6)
 →建物のある部分(区画部分)において検証した場合,その部分において一部の規定が適用除外となる
階避難安全検証法(令129条)
 →建物のある階において検証した場合,その階(検証法により検証した階)において一部の規定が適用除外となる.
全館避難安全検証法(令129条の2)
 →階ごとでなく,建物全体において検証した場合,建物全体において一部の規定が適用除外となる.
 
「区画避難安全検証法」については,令和2年4月に追加されました.最も範囲が小さく,適用除外の対象となる規定も限られます(ハードルが低い分,実用的とも言えそうです).
また,「煙高さ判定法(ルートB2)」という概念が加わりました.「避難完了時の煙の高さが,避難上支障のある高さ(床から1.8m)まで降りてこなければOK」という考え方です(上記の各条文「3項二号」「3項二号」「4項二号」が該当します).尚,詳細は告示で定められてますので、深追いは禁物.あくまで,施行令の範囲で「構成」をみておいてください.
「階避難安全検証法」と「全館避難安全検証法」については,解説集として収録されている「避難安全検証法」の解説をご覧ください.そこに,一覧表でまとめられています.話の流れとしては,例えば,「階避難安全検証法により安全性を確かめた」という記述が問題文にあれば,令129条をチェックして,対象となる規定が適用除外となるのか確認します.ここでの注意点は,避難安全検証法を適用できる条件があるということ.例えば,主要構造部が準耐火構造以上か,不燃材料で造られた建築物でなければ適用できません.あと,検証法により検証しなくとも,大臣認定を受けた場合も同様に,避難安全性能を有するものとして認められますので,一部の規定が適用除外となります.歩行距離の規定(令120条)や,排煙設備の規定(令126条の2,令126条の3)等は,階避難安全検証法でも,全館避難安全検証法でも適用除外となりますが,防火区画(令112条)は扱いが異なります.これらは,1度,比較しながら見ておいてください.そして,問題文の設定が,一覧表のどこに位置するのかチェックしてみましょう.出題者がどの辺りの規定について聞いているかが見えてきます
 

17. 建築制限

2021.02.02
まず, この項目で学習する概要を簡単に説明いたします.用途地域は,それぞれの地域において建てられる建築物の用途や規模を制限することで,互いの生活や企業活動を損なわないよう,またその地域にふさわしい街並を形成するために,都市計画で定められます.用途地域には,8つの住居系,2つの商業系,3つの工業系を合わせた計13種類の地域があります(その他に指定の無い区域).1級建築士として少なくとも,この13種類の用途地域は,暗記しておいて下さい.さて,皆さんが,この項目で学習される内容は,ある地域に,所定の建築物を建築することが可能かどうか,の判定についてです.「法別表2」を見てみましょう.
 
まずは,「1種低層」から見ていきましょう.基本は,例えば,(い)項には,「1種低層住専に建築できる建物条件」が記載されています.もし,問題で,「延べ面積が○○㎡の△△の用途である建築物は,1種低層住専に建築できるかどうか?」と問われた場合には,この別表2(い)項をチェックして確認します.ここに掲載されている条件に該当する場合には,1種低層住専に建築することは出来ます.
(ろ)項には,「2種低層住専建築できる建物条件」が記載されています.さて,この2種低層住専は,1種低層住専に比べて,建築制限が緩い地域だと考えて下さい.そのため,1種低層住専に建築できる建物は,当然ながら制限の緩い2種低層住専でも建築することができます.さらに,その左隣の1種中高層住専((は)項)になると,さらに制限が緩くなります.そのため,1種・2種低層住専に建築できる建築物は,当然ながら,1種中高層住専においても建築することが出来ます.尚,住居系については,次のように条件(建築制限)が緩くなっていきます.
 
1種低層(い)項 住居系の中で最も制限が厳しい.
  ↓
2種低層(ろ)項
  ↓
1種中高層(は)項
  ↓
2種中高層(に)項
  ↓
1種住居(ほ)項
  ↓
2種住居(へ)項
  ↓
準住居(と)項 住居系の中で最も制限が緩い.
 
※田園住居(ち)項 これは例外で「2種低層(ろ)項+α」と理解しておきましょう.
 
(は)項の1種中高層までは,「建築できる建物条件」が記載されています.ただし,次の(に)項からは,「建築できない建物条件」として条件設定されています.ここでは理解しやすいように,1種低層,2種低層,1種中高層までは,制限が非常に厳しく,建築できる建物の方が,建築できない(建築してはならない)建物に比べて圧倒的に少なく,逆に,それ以外の地域では,建築できる建物の方が,建築できない建物に比べて圧倒的に多くなるため条件設定も「建築できない建物条件」として限定している,と考えることにしましょう.
 
例えば,「2種中高層(に)項」の見方ですが,「第一号」に「(ほ)項第二号及び第三号、(へ)項第三号から第五号まで、(と)項第四号並びに(り)項第二号及び第三号に掲げるもの」とあり,このうち「(と)項第四号」を見てみると「(る)項第一号(一)から……」とあります.ここに書かれている工場系の用途は,「工業地域や工業専用地域」でしか建てられないグルーピングです.このように,「2種中高層(に)項」で制限される対象は,それ以降に書かれているものまで対象に含まれているという点を理解してください.
1種住居(ほ)項は,2種中高層と比べて,「建築してはならない条件」が少なくなります.さらに,二種住居(へ)項,準住居(と)項,近商(り)項,商業(ぬ)項,準工業(る)項という順に,建築してはならない条件が緩く(少なく)なっていくのが分かりますね.このように法別表2を見ていきます.最後に,工業系の地域を見ていきましょう.準工業の建築制限は,(る)項をチェック,工業の場合も(を)項をチェックで済みます.最後の工業専用の場合は,工業で建築できない建物条件(を)項+(わ)項のチェックとなります.
 
3系統(住居系・商業系・工業系)の用途地域を2方向から制限している」という構成になっています.

■学習のポイント
 
まずはこちらの資料をご覧ください.【こちら】
「用途地域による建築物の用途制限の概要」(東京都のHP)より
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kanko/area_ree/youto_seigen.pdf
 
その地域において,どんな用途・規模の建築物が建てられるのか」という観点と
この用途・規模の建築物は,どんな地域に建てる事が出来るか」という観点があります.
 
「法別表2」は前者「上記資料」は後者です(同様の表は,書籍「法規のウラ指導」にも掲載しています).後者の方が「3系統の用途地域を2方向から制限」という意味が,よりわかりやすいと思います.また,実務(計画段階)では,後者で考える事が多いと思われますが,視点は違っても,意味は同じです.
 
双方を擦り合わせて見ていくと,フラットに書かれた条文や別表が,立体的に,関係性を持って捉える事が出来てきます.全ての条文で行う必要はありません.過去問の範囲で,ちょっとでも気になったら,「法別表2」と「資料」と「問題解説」を照らし合わせて見て行ってください.
 
「条文(法令)に立ち返って確認する」という人は少ないですが,受験生の皆さんは,解説書や参考資料の情報を調べたならば,その場で条文でどう書かれているか(どうコントロールされているか)を調べる事をお勧めします.
 
過去問については,その問題文を読んだ時に「出題者は,どの辺りの事を聞いているのか」をまず考えてみてください.全くイメージ出来なければ一旦保留.ボンヤリとでもイメージできるなら,条文で確認すれば良いです.そして,明らかに「○か×か」が分かるような問題を増やしていきましょう.例えば「保育所」や「診療所」は,どの用途地域でも建築する事ができますが,それと「学校」や「病院」との対比で両方を覚えていく,というように進めていってください.法令集を引かずに解答できる幅を少しずつ広げていく感覚を身に着けていきましょう.無理に「引かないようにしよう」と考える努力する必要はありません.それでは解答の精度が下がります.自ずとそうなっていくという方向で捉えてください.