06構造(文章題編)

13.その他(免震構造・制振構造)

まずは,オンライン講義の様子をご覧ください(Youtube動画 約4分)

今回のインプットのコツでは,免震・制振に関して,概要説明します.
ここ数年は,かなり専門的な内容の出題もありますが,まずは全体把握を心がけましょう!


免震構造は,建築物の基礎部分あるいは中間部分に「免震層」をつくることで,建築物を地面と絶縁することで,地震動の揺れを建築物に極力伝えないような構造です.
一方,制振構造は,建築物の中にあらかじめ仕込んだ制振部材で地震力を消費させ,柱や梁が壊れないようにする構造です.
制振構造には,建築物に仕込まれたダンパーで地震力を消費されるパッシブ制振と,電子制御で建築物の揺れを減らすアクティブ制振があります.


免震建築物は,免震層の位置により基礎免震中間層免震に分類されます.

免震部材には,「絶縁機能」「復元機能」「減衰機能」「支持機能」の4つの機能が求められます.

免震構造の免震層には,主に積層ゴムアイソレータが用いられます.
「絶縁機能」「復元機能」及び「支持機能」を持つ「天然ゴム系積層ゴムアイソレータ」の他に,「減衰機能」も持たせた「高減衰積層ゴムアイソレータ」や「鉛プラグ入り積層ゴムアイソレータ」も使われます.
「天然ゴム系積層ゴムアイソレータ」は「減衰機能」がないため,鋼材ダンパーやオイルダンパー等と組合わせて用いられます.
「天然ゴム系積層ゴムアイソレータ」は大きな引張力が生じる部分には使えません.
大きな引張力が生じる部分にはリニアスライダー等を用います.

積層ゴムのゴム1層の厚さを小さくすると,鉛直支持能力を向上させることができます.

積層ゴムアイソレータ以外の支承には,すべり支承があります.
剛すべり支承と,剛すべり支承に積層ゴム部分が組み合わされた弾性すべり支承があります.
一般的なすべり支承には「絶縁機能」「減衰機能」「支持機能」の3つの機能は有してしますが,「復元機能」は有していません

免震構造は,免震層より上部構造に伝わる地震動を,4~4.5秒の固有周期となるように長周期化することで,上部構造に生じる応答加速度が著しく低減する構造です.


制振構造とは,地震や風等による建築物の揺れを制御するような特性が付与された構造を指します.
制振構造は,強風時に塔状建築物が大きく揺れるような場合の居住性の改善や,地震による損傷,崩壊を防いで安全性を確保することを目的としています.
制振構造は,大きく分けて,パッシブ制振,アクティブ制振,ハイブリッド制振(パッシブ制振とアクティブ制振の組み合わせ)に分類されます.

パッシブ(受動的)制振とは,外部から力を加えて建築物の振動を制御することなく減衰特性を持たせることで振動を制御する形式をさします.
用いるダンパーには鋼材ダンパー等の「履歴減衰型ダンパー」や,「座屈防止ブレース」等があります.

柱や梁よりも低強度のエネルギー吸収部材を設置するせん断パネル型のダンパーは,上下の主架構に制振部材を直結するタイプのブレース形式と,間柱の中間に設置するタイプの間柱形式とがあります.エネルギー吸収効率は,間柱形式よりもブレース形式の方が高くなります.

他にはオイルダンパー粘性ダンパーのような「粘性減衰型(速度依存型)ダンパー」もあります.


□学習のポイント
最近出題が増えている免震構造,制振構造については,非常に専門的な内容が含まれているので,全てを理解することは不可能です.
あまり深入りせずに,過去問題の知識で4選択枝をジャッジできるように基本を押さえることがポイントです.

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