01環境・設備(環境編)

02.換気

まずは「自然換気」について.自然換気には,風の力による「風力換気」と,温度差による「温度差換気」の2種類があります.公式の構成メンバー全部を丸暗記する必要はありません.中には一定(固定値)のものも含まれています.問題コード27041のように,「○○に比例」とあれば「√」の外,「○○の平方根に比例」とあれば「√」の中です.


次に,問題コード20024の解説について補足します.まず,暖房器具には,開放型燃焼器具(開放型暖房器具)と密閉型燃焼器具(密閉型暖房器具),さらに,半密閉式燃焼器具(半密閉式暖房器具)の3種類があります.開放型燃焼器具とは,いわゆる家庭用の灯油ファンヒーターのようなものです.燃焼用の新鮮空気を室内から取り入れ,燃焼後の排ガスを再び室内へと排出するため室内の空気汚染が起こり易くなります.その点,密閉型暖房器具の場合には,燃焼用の新鮮空気を室内からではなく,屋外から直接取り入れ,燃焼後の排ガスも屋外へと直接排出するものです.そのため,室内の空気汚染が起こりにくくなります.また,半密閉式暖房器具は,プチ密閉型暖房器具のようなもので,燃焼後の排ガスは,直接外部へと排出するものの,燃焼用の新鮮空気は,室内から取り入れます. (社)日本ガス石油危機工業会のホームページに「半密閉式石油暖房機の安全な使い方」が掲載されています.「半密閉式」の注意点を知識の軸としてインプットしておきましょう(日本ガス石油機器工業会のHP).【こちら】


「定常濃度」についてオンライン講義での解説をご覧ください(Youtube動画 約2分)

 

問題コード28031のような必要換気量の図問題は,ある程度基本形として覚えてしまいましょう.問題文の条件設定において「定常状態」とあります.汚染物質発生後,室内汚染物質濃度は,急速に上昇しますが,時間が経つにつれて,発生量と換気量は平衡し,やがて一定となります.この状態を「定常状態」といいます.濃度が上昇する速度は室容積(換気回数)によります.室容積が小さいほど早く定常状態となり,大きいほど時間がかかりますが,いずれにしても,やがては定常状態(定常濃度)となります.換気量の計算問題は,この定常状態を前提として考えるため,換気量が同じあれば室容積の大小は関係ありません(次図参照).意味を考えながら,何度か描いてみましょう.


■学習のポイント
「環境・設備(環境)」からは,特にこの「換気」や「音響」についてのウエイトが大きく,より重点的に知識(特に応用力)が要求されています.ただし逆を返せば,ここがマスターできれば,大きな得点源になる,ということです.そのためには,「問題文の正誤に関わる着目すべきポイント(フォーカスポイント)」を見極めなければなりません.それでは,具体的にみていきましょう.
 
平成19年度に初めて出題された問題コード19195の「ガラリ計算」については,その後,21122,23134,240101,26123,27131,29114と頻出問題となりました(Webアプリ「学ぶ」「検索」で「ガラリ」をキーワード検索してみてください).基本式をキチンと押さえておけば,どんな問われ方をされても,自由に扱えるはずです.一方,外気取入れガラリと排気ガラリの開口面積の大小が問われると,混同しがちです(ケアレスミス多発).給気側と排気側の風速の違いにより面積に違いが出るわけですから略図を描いて目視で確認してから解答するよう習慣付けましょう.

必要換気量の文章問題、問題コード20022,29031の注意点は,問題文中の「換気回数」の違いです.換気回数は,換気量を室容積で除したものですから,「換気量が一定」という前提条件と,問題コード20022の「換気回数が一定」という前提条件は,まるで違う状況を表わします.これは決して「引っ掛け問題」ではありません.出題者は明らかに,その違いが理解できているかを聞きたいはずです.本試験でのこの読み間違い(読めているのに、違うイメージを立ち上げてしまう)は,致命的となります.2巡目以降の学習では,問題文の条件や言い回し(設定)について,注意深く読み取って整理していってください.出題者にとっては,類似する用語は格好の題材となることを覚えておきましょう.

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