04.色彩
この項目を効率よく学習するために,「光と色」に関する基本事項を学ぶことから始めましょう.アプリの「解説集」に収録されている「光と色の解説」をまず最初にお読みください.この解説集では,「光と色の意味とその関係性」について説明しており,この資料によって身につけて頂く光と色に関する知識は,新問題対策としても強力な武器となります.最初は,小難しい説明が記載されていますが,要するに「光(電磁波)とは,横波であり,音(音波)は,縦波である」というイメージを理解して頂ければ十分です(そのまま暗記して頂いても結構です).
話を戻します.光(電磁波)とは,横波の振動であると説明しましたが,その波長の長さ(波長域)によって,紫外線(波長が短く目で認識できない波長域),可視光線(目で認識できる波長域),赤外線(波長が長く目で認識できない波長域)等に区分できます(光と色の解説集参照).解説集の中でも説明されているとおり,波長の長い光線である赤外線は,熱線とも呼ばれ,物体に照射されると物体内の分子を振動させることで熱エネルギーに変換されます.太陽光や,ハロゲンヒーターなどを浴びると暖かく感じるのは,赤外線(熱線)による光エネルギーが熱エネルギーへと変換されるためです.また,この熱線による熱の移動を「輻射」といいます.
次に「色って何?」という説明に移りましょう.そもそも人間は,光を目で感じ取ることによって色を認識します.今,ある物体Aに,照明などの「光源」から「赤色(波長が長い光線)」,「黄色(中間ぐらいの波長の光線)」,「青色(波長が短い光線)」という3種類の光(光線)が照射されているとします.その様子を人間が見た際,例えば,物体Aが黄色に見えたとしましょう.それは,「光源」から「物体A」に照射される3色の光線のうち,「物体A」が「赤色」と「青色」の光線を吸収し,「黄色」の光線だけを反射しているからです.人間が「物体A」を見た際,「物体A」から反射されてきた「黄色」の光線だけが目で認識されるため,頭の中で「物体Aの色は,黄色い」と判断するわけです.これが,人体が色を認識する際のメカニズムです.
さて,「光と色の解説」の2ページ目からは,より具体的な説明が記載されていますね.そこに人間が色を感じる3要素には,「1.光源」,「2.物体の特性」,「3.視覚(人間の特性)」の3種類があると記載されています.先ほどの説明では,光源から赤,黄,青の3色の「光線」が照射されていましたが,たとえば,「光源」から照射される「光線」が,赤系の色に偏っていた場合の「物体A」の見え方と,同様に青系に偏っていた場合の見え方では,同じ「物体A」であっても異なる色に見えてきます.これは,部屋の照明を白熱灯(赤味がかる)にした場合と,蛍光灯(青味がかる)にした場合とで,異なって見えるのと同じ原理です.つまり,同じ物体であっても,「光源」の種類(照射する光線の種類)が異なれば同じ物体であっても,その色の見え方は,違うものに見えるわけです(ただし,物体そのもの光線を反射する特性は一定です).
次に,「2.物体の特性」についてご説明しましょう.これは,いわゆる物体そのものの「光の反射特性」であり,青系の光線を反射しやすい物体は,青っぽく見えますし,赤系の光線を反射しやすい物体は,赤っぽく見えるような物体固有の特性を表します.
最後の「3.視覚」については,「光源について,特定の波長域の光線(例えば黄色の光線)を照射する強さ」×「物体において,光源から照射される特定の波長域の光線(例えば黄色の光線)を反射する割合(反射率)」=「人間の目に飛び込んでくる物体から反射された特定の波長域の光線(例えば黄色の光線)の強さ」となります.これは,いわゆる物理量です.しかし,人体が厄介なのは,同じ物理量の光であっても波長域の違い(光線の種類の違い=色の違い)によって,色の感じ取り方が異なることです.
以上が,「光と色」のイメージについて説明となります.
次に,RGB表色系と,XYZ表色系について説明しておきましょう.「光と色の解説」6ページ,7ページを見てください.解説の中にも記載されているように,人体のメカニズムとして,色を知覚するため人間が「目」で光を認識した際には,3種類の細胞が送り出す信号の組み合わせにより頭の中で色を認識します.その原理をもとに,「特定の3種類の色を組み合わせることで,あらゆる色を表現することができるのではないだろうか?」という先人達の戦いが始まるわけです.「へー,何が楽しくてそんなことするわけ?」と思われる方もいるかもしれませんが,例えばカラーテレビは,その理論を応用することによって開発されました.カラーテレビでは,赤,緑,青という3色を組み合わせることによって,カラー映像の世界を実現させているのです.これがRGB表色系の原理です.ただし,このRGB表色系にも問題点があります.それは,理論的には,成立しているものの,実際には,作り出せない色が存在してしまうことです.この問題を改善するために,XYZ表色系があります.
■学習のポイント
問題コード20023については,「誘目性」という言葉が登場します.大抵の受験生は,人間が最も強く認識し易い色は,黄緑の波長域の色だと覚えています.中には,そのまま鵜呑みにしている方も少なくありません(「明所視=黄緑色」といった具合に).それは,人の目の感度と波長の関係性の話です.この「誘目性」は,心理的な話です. 色光の誘目性は,視対象が目を引きやすいかどうかという特性であって,「赤」がもっとも高く,次に「青」,そして「緑」です.これは,違いを明確に,覚えておきましょう.
次に,問題コード01082に.「同化」という言葉があります.ここで,「同化」と「対比」の違いについてみておきましょう,「同化」の場合,ある色が他の色に囲まれたり,挟まれているとき,囲まれたり挟まされている色が周囲の色に似て見える現象をいいます.
同化の場合,上図のように灰色の背景に白い線で縞模様を描くと背景色の灰色は実際よりも明るく見え,黒い線で縞模様を描くと背景色の灰色は黒ずんで見えます.このとき,白色や黒色の幅を大きくすると下図のように同化効果ではなく,対比効果(明度対比)が起きます(問題コード19075).
明度対比の場合,上図のように,黒色に挟まれた(囲まれた)灰色の方が,白色に挟まれた(囲まれた)灰色の方が明るく見えます(明度が高く見える).
色彩の項目については,「色彩検定」や「カラーコーディネーター」といった他の資格試験がありますので,ネットを検索すると,その関連のカラフルな資料が山ほど出てきますが,ここでも深入りは禁物です.専門知識で武装するよりも,ビジュアル的にイメージを補完するような範囲で活用する事をお勧めします.