01環境・設備(環境編)

08.音響

「音」というものは,空気の振動です.「音波」は,縦波であり,「疎」の部分(=圧力が低い部分)と,「密」の部分(=圧力が高い部分)とが交互に繰り返されながら伝わっていきます.そのときの圧力変化が10Pa(パスカル)だったとしましょう.その場合,疎の部分では,-10Pa,密の部分では,+10Paとなります.疎の部分というのは,横波でいうところの最も「谷」となる部分,密の部分というのは,最も「山」となる部分のことです.


「音に関する計算を行う場合には,レベル表示した上で計算する」ということを覚えて下さい.レベル表示した際の単位は,「デシベル」となります.また,レベル表示することを「デシベル変換する」とも言います.ここで用語を整理しておきましょう.まず,スピーカー等の音源の音の大きさを「音響パワー(W)」といい,音源から単位時間に発生する音のエネルギー量を表します.いわゆる「音響出力」と呼ばれるものですね.「音響パワー」をレベル表示(=パワーレベル表示)したものが,「音響パワーレベル(単にパワーレベルともいう)」となります次に,「音の強さ」です.「音の強さ」とは,音源から離れたある地点において,単位面積を単位時間に通過する音のエネルギー量(W/㎡)ですね.これをレベル表示したものが,「音の強さのレベル」となります.最後に,「音圧」を見てみましょう.「音圧」とは,先ほど大気圧に対する圧力変化であると説明しました.それをレベル表示したものが「音圧レベル」です.ただし,「音圧」と「音の強さ」との関係を考えると,「音圧の2乗」が,「音の強さ」に比例するという関係があります.そのため,音圧を音圧レベルとしてレベル表示する場合は,2乗して考えます.

「何故,ログ計算では,デシベル表示したもので考えていくのか?」というと,「音響パワー(W)」や,「音の強さ(W/㎡)」は,「エネルギー量」であり,「音圧(Pa)」は,「圧力」であるため同時に比較検証できないからです(単位も異なるため).ただし,レベル表示することよって,一般の音場については,等しいもの(等しい量)として扱えるようになるため,同時に計算することが可能となります.


さて,音を計算することが出来るようにはなりましたが,それはあくまで物理量の話です.同じ物理量の音でも,人間の感覚では,「聞き取りやすい音」と「そうでない音」とがあります.それは,音の周波数の違いによります.例えば,同じ100というエネルギー量を持つ音であっても,周波数の低い音は聞き取りにくく,周波数の高い音は聞き取りやすくなります.ラウドネス曲線」の図がありますが,例えば,同じ50ホン(phon)という「音の大きさ」で考えた場合,周波数の低い音については,より大きな音圧レベルが必要となり,逆に,周波数の高い音の場合は,音圧レベルが低くとも,同じ50ホンという音の大きさで人間は認識することができるのです.


点音源の音響出力がP(W)だった場合,音は,球面上に広がっていきます.

例えば,半径rの地点の音の大きさは,P/4πr^2 となります.ここで,4πは,微小な定数であるため無視し,P/r^2 と考えることができます(r^2は,rの2乗を示す).考え方としては,もともとPという大きさであったものが,球面上に広がっていくため,半径がrとなる地点においては,音の大きさ=P/(半径rの球体の表面積) となるイメージです.これが,「点音源は,距離の2乗に反比例する」という理由です.

次に線音源ですが、線音源とは,点音源が線状に集合したものと考えましょう.

線音源を考える場合は,ある地点の音源における音の拡散状況に着目します.その場合,音は,円の円周上に広がっていきます(上図において,赤い円の部分です).そのため,半径がrとなる地点においては,音の大きさ=P/(半径rの円周) となり,P/2πr となります.このとき,2πは,微小な定数であるため,先ほどの点音源同様に無視して考え,P/rと考えることができます.そのため線音源の場合は,距離(r)に反比例することになります.


上記の話をまとめてみましょう.次のように計算します.


■学習のポイント
上記で「点音源からの距離が2倍になると6dB減衰する」ということを説明しました.点音源からの距離が2倍になると,音の拡散する面積は約4倍になると考えることができます.つまり「音の強さ」は1/4倍になり,「音の強さのレベル」は-6dBとなるということです.
こう言う話の後で何ですが,原理を知っている方が応用に強いとは言え「それが理解できないと為す術がない」というわけではありません.デシベル計算が苦手という方は,捨て問題にする前に,次の事を暗記しておいてください.
・音の強さのレベルと音圧レベルは,ほぼ同等に扱える.
・音の強さが2倍になると,音圧レベルは3dB増加する.
(音の強さが4倍になると,音圧レベルは6dB増加する)
・点音源からの伝搬距離が2倍になると,音の拡散する面積は4倍
になるため,音の強さは1/4になる=音圧レベルは6dB減少する.

その道の専門家にとっては初歩的な話でも,これから学ぶ人にとっては,とてつもなく難しい話が一級建築士試験の知識には沢山あります.バックボーンも各自異なるわけだし,習得の仕方は変わって当たり前.「どのレベルまで理解しているか」よりも「どういう出題に対してどう備えるべきか」を考える方が重要だったりします.

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