02環境・設備(設備編)

02. 給排水・衛生設備

まずは,オンライン講義の様子をご覧ください(Youtube動画 約4分30秒)

設備全般に言える事ですが,専門性が高い分野ですので,まずは一通り,読み進めてみましょう.その中でも,サクッと入ってくるものと,なかなか飲み込めないものがあるはずです.「29154」に,「間接排水」という用語が出てきますが,それは,次図のようなイメージとなります.
イメージしずらい部分が出てきたら,一旦チェックを入れて,復習でもう少し踏み込んでみる.そして,類似問題があれば,「何が,どう問われるのか」と言った,出題者の「仕掛け処」に着目するようにしましょう.1回目よりも2回目,2回目よりも3回目と,その問題と出会う度に理解が深まり,他の知識と繋がるイメージを作っていってください.

公共下水道における排水方式の場合

合流式:「汚水,雑排水」と「雨水」とを同一系統として合流させる方式.
分流式:「汚水,雑排水」と「雨水」とを別系統として分流させる方式.
 
合流式の場合は,「汚水,雑排水,雨水」を同じ下水道管に排水させ,終末処理場へと導き,分流式の場合は,「汚水,雑排水」を排水する下水道管とは別に,「雨水」を排水する下水道管(雨水排水管)が存在します.このとき,「汚水,雑排水」を排水する下水道管は終末処理場へと導びかれ,「雨水」を排水する下水道管(雨水排水管)は,河川などへと導きます.尚,合流式の場合は,多量の雨水が流れ込んできた際には,終末処理場で処理しきれず,オーバーフロー分は河川へと放出せざるを得ません.その際,汚水,雑排水が混ざった雨水が河川に排出されるため,河川の水質汚染を引き起こす原因となっております.そのため,現在,新設される下水道の多くが分流式となっております.
 
敷地内排水の場合
合流式:「汚水」と「雑排水」とを同一系統として,合流させる方式.
分流式:「汚水」と「雑排水」とを別系統として,分流させる方式.
 
敷地内排水の場合,合流式,分流式のいずれの場合においても「雨水」は,別系統として排水します.ちなみに,「雨水」を別系統とする理由は,多量の雨が降った際に,排水系統へ多量の雨水が流れ込み,排水系統を逆流させてしまう恐れがあるからです.また,敷地内排水を考える地域は,公共下水道が整備されていない地域となります(公共下水道が整備されている地域の場合,終末処理場へと導かれ,そこで浄化された上で河川へと放出されます).合流式の場合は,汚水(トイレからの排水)と雑排水(浴室やキッチン,洗面所などからの排水)を敷地内に設置する合併処理浄化槽へと導き,そこで浄化した後に河川へと放流させます.分流式の場合は,汚水のみをし尿浄化槽へと導き浄化させ,雑排水は,直接どぶ川(側溝)へと導き,そこから河川へと放流させるものです.つまり,雑排水は未浄化のまま河川へと放流させることとなるため,水質汚染の原因となっております.そのため,現在は,一部の地域を除いて,合併処理浄化槽の設置(合流式)が義務付けられています.

次に,「23153」「01153」について,まず,給湯設備には,循環式(二管式)と単管式の2種類があります.循環式の場合,給湯管内に,常に湯を循環させているため必要なときにすぐに湯(給湯)を得ることができますが,単管式の場合は,加熱装置からの給湯管が直接,水栓に接続されているだけなので,使用開始後(加熱開始後)は,しばらくは水が出てきます.最下階にあるボイラーなどの加熱装置によって暖められた湯は,給湯管により各水栓器具へと導かれますが,時間の経過と共に熱が失われ,湯の温度が下がってしまいます.そのため返湯管を設け,温度が下がった湯を再び最下階にあるボイラーなどの加熱装置へと導き,再加熱した後,再び,給湯管へと送り出します.これが循環式のシステムとなります.

 
最後に,「22141」にある「バキュームブレーカー」という用語ですが,これは,逆流防止装置と理解して頂ければ結構です.給水管系統が断水などによって負圧となった際に,給水系統の配管内に汚れた水が逆流してくるのを防ぐための装置です.
 
知っておかないと太刀打ちできない用語が,ドンドン出てきます.過去問の範囲で構いませんので,一旦進めて,復習.しばらく経ってから,また復習,というようにイメージを定着させていってください.

■学習のポイント

 冒頭の受水槽の図について,「30141」では,保守点検スペースとして「水槽の上部に100cm,側面及び下部にそれぞれ60cm」という数値が出てきます.こうした寸法は,数字だけで覚えるのではなく,人が受水槽の上に登ったり,側面をすり抜けたり,下に潜り込むイメージを作る(出来れば1度,描いてみる)と良いでしょう.というのも,イメージする前に「○×」をジャッジするのが習慣になっていた場合,「26151」のように,「側面,上部及び下部に,それぞれ60cm」とあると,「60cm」に強く反応して「知っているのに失点」という事が起きるのです.「イヤ、自分はそんな間違い方はしない」「十中八,九大丈夫」・・・だとしても,残りの「1」がケアレスミスというものです.そして,これを確実に潰していくのは難しいのです.なぜなら,多くは自覚症状が無い訳ですから.「イメージを立ち上げてから解答」なんて,ひと手間かかるし,地味な作業ですが,ここを追求出来れば,「本試験」でその精度が現れます
 
「19203」は「節水こま入り給水栓」という用語が出題されています.問題文をよく見てみると「こまの底部の大きさ」「ハンドルの開度」「吐水量」という3つの要素に「大小関係」が含まれています。最後は「節水」とあるので、自ずと「吐水量」は「少ない」で確定しますが,あとの2つは「仕掛け処」となります.この問題では「こまの底部」の大小に仕掛けがありましたが、「ハンドルの開度」に仕掛ける事も出来るはずです.勿論,「節水こま入り給水栓」がどういうものかを理解し,そのイメージを掴んでいれば,丸暗記よりは,正答する確率は上がるでしょう.しかし,ここでも最初の「こまの底部の大きさ」にだけ強いチェックの意識が向いてしまうと,そこが合っていれば「○」のようなジャッジをしがちです.「この問題の場合は,コレとコレ」「この問題の場合は,コレとコレとコレ」というように,特に定番の問題は,その「複数のフォーカスポイント」をチェックするよう仕上げていってください.
 
一つ前のページへ戻る