04法規

06. 一般構造

この項目においては,「その条文が,何を規定している条文なのか?」を意識しながら学習してみて下さい.ここでまとめておきましょう.
 
令23条 : ここでは,「階段の勾配や幅」に関する規定が記載されています.これも製図試験対策や,今後の皆さんに要求されてくる実務的な知識として覚えておいて欲しいのですが,階段の勾配は,「踏面(ふみづら)」と「蹴上げ(けあげ)」によって決まってきます.「階段の勾配」=「蹴上げ寸法/踏面寸法」という形ですね.「踏面寸法」が大きくなれば勾配は緩やかになり,「蹴上げ寸法」が大きくなれば勾配は急勾配となります.では,設計上,階段の勾配は,緩い方が望ましいでしょうか?それとも急勾配の方が望ましいでしょうか? 「経済設計」の観点では,「急勾配」の方が望ましくなります.なぜなら,階段の勾配が「急勾配」であるればあるほど,階段の占める面積が小さくて済むからです.ただし,あまりに急勾配な階段を設定してしまうと,今度は逆に,使い勝手が悪くなりますし,転倒事故を起しかねません.そこで,基準法上では「令23条」に,「住宅の場合は,ある程度急勾配でも構いませんよ」と規定されています.また,そこには,カッコ書きで,「ただし,住宅の用途でも共同住宅の共用階段は,急勾配にしてはいけません.」とも記載されています.(「戸建住宅の階段の場合は,特定少数の人しか使用しないものであるため,急勾配でも構わない.」という解釈です.)このように,条文の意味を常識的に解釈していくようにしていけば,より記憶に定着させることができます.
  
令24条 : 踊り場に関する規定
令25条 : 階段の手すりに関する規定
令26条 : 傾斜路(スロープ)に関する規定
令27条 : 特殊用途の専用階段に関する規定
 
このように,第○条に記載されている条文の内容は何なのか?について意識して学習を進めてみて下さい.一気に暗記する必要はありません.勉強している最中に,頻出するような条番号や条文名は,意識さえしておけば自然と覚えてしまいます.
 
次に,解説集として収録されている「階段」の解説をマスターしておきましょう.この資料によって,階段の設計に関する対策は万全となります.この知識は,次の製図試験対策としても効果があります.この機会にきちんとマスターしておいて下さいね.

問題コード「01052」を見てみましょう.
 
集会場における客用の階段及びその踊場に,高さ85cmの手すりが設けられた場合における階段及びその踊場の幅は,手すりの幅が10cmを限度として,ないものとみなして算定する.
→○
 
この条文読解について「原文(令23条3項)では,高さが50cm以下のもの、とありますが、問題文では高さ85cmの手すりとなっているのはどうしてでしょうか?」というご質問をよく頂きます.頻出問題でもありますので,令23条3項を確認しておきましょう.
 
「階段及びその踊場に
手すり
及び
階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが50㎝以下のもの
(以下の項において「手すり等」という)・・・」
 
A及びBこの両方をまとめて以下の項で「手すり等」という)と読めます.ここでの設備とは「階段昇降機のレール」のようなものです.続いて
 
「階段及びその踊り場の幅は,手すり等の幅が10㎝を限度として, ないものとみなして算定する.」
 
つまり,「手すり」も「高さ50cm以下の階段昇降機のレール」も,出が10cmを超えない部分は,ないものとみなして階段・踊り場の幅員を算定してよいということになります.問題文の「高さ85cm」というのは前者の「手すり」についての寸法です.後者の「昇降用の設備」の高さは,問題文で聞いていません.
 

■学習のポイント

 
計画科目の問題コード「01081」をみてみましょう.
 
既存の中学校の校舎を小中一貫教育を行う義務教育学校に変更する計画に当たり,階段に,手摺,滑止め等の安全上の措置を講じることにより,蹴上げの高さを変更しなかった.
→○
 
この問題は計画科目で出題された場合は,それが新問でも「なんとなく○」とか「知らないけど○」と言う判断が出来ますが、仮に法規科目で出題されたとしたらどうでしょう?
手元に法令集がある事で,見つかるまで探したくなるような問題となってしまいがち(実際には「告示」の内容ですし,問題文のような具体的な計画が記載されている訳ではありません).意味合いで出題された問題を法令集で「一言一句,一致するかしないか」という探し方を始めてしまうと,瞬く間に時間が過ぎ去ってしまうので注意して下さい.毎年,多くの受験生が,そういった法規科目の時間配分のミスによりペースを乱し,切り替える事なく以降の科目へ影響を及ぼすことになります.このような場合,決して深追いしないようにしましょう.その場では仮に答えを出しておいて,他の選択枝で判断出来たり,後で時間があれば戻ってきて,一度リフレッシュしてから再度取組むのが得策です.
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