04法規

08. 申請手続

この項目の補足説明する前に,確認申請の「流れ」について基本のイメージを作っておきましょう.
1.確認申請書を提出 → 2.確認済証の交付(=確認が下りる.) → 3.工事着工 → 4.工事完了 → 5.完了検査を申請 → 6.完了検査 → 7.(完了)検査済証の交付 → 8.建物の使用開始
皆さんが新しく自分の家を新築したときのことイメージしてみましょう.設計図が完成した段階で,確認申請(法6条)が必要な場合には,設計図などをまとめた「1.確認申請書」を提出します.提出先は,従来は,建築主事(市役所等の建築指導課)へと提出していましたが,現在は「指定確認検査機関」という民間に提出することも可能です.そして,建築主事(行政)や指定確認検査機関(民間)のいずれかに確認申請書の内容をチェックしてもらい建築基準法等の建築関係法令(法律上のルール)をきちんと満たしているかどうかのお墨付きを頂きます.それが,「2.確認済証」となります.建築主事又は指定確認検査機関に確認済証を交付してもらい,晴れて工事を着工することが出来ます.次に,工事が完了したとしましょう.その際には,「1.確認申請書」を提出した際に添付してあった設計図や仕様書などの内容と完成した建物の内容とが合致しているかどうかのチェックをしてもらいます.その際にも,「5.完了検査申請」(法7条)を建築主事,または,指定確認検査機関のいずれかに行い,「6.完了検査」を受けることになります.その完了検査のチェックにパスすると「7.(完了)検査済証」を交付してもらえます.この「7.(完了)検査済証」を交付してもらいようやく新居に入居することができるのです.

さて,「建築主事と特定行政庁の違い」ですが,「建築主事」とは,行政側にいる建築の専門家だと理解して下さい.(全般に関して言えることですが,あくまで学科試験対策向けに建築知識を分かりやすく説明するための説明内容だと考えて下さい.)

「特定行政庁(法2条三十五号)」については,例えば,ある村があって,その村に,専属の建築主事(建築の専門家)がいれば,その村の村長さんが,「特定行政庁」となります.もし,その村に専属の建築主事が存在しなければ,都道府県知事が「特定行政庁」となります.そのため,「建築の専門家」で判断できるような内容の許可申請,または,届出先は,「建築主事」となり,建築だけの視点ではなくより広範な行政的見地からの判断が必要な場合の許可申請,または,届出先は,「特定行政庁」となります.

法6条には,確認申請について規定されており,「申請義務が発生する建物(=確認申請書を提出しなければならない建物)」について定められています.ここで,「法6条各号の区分については,暗記してしまいましょう(法規科目で数少ない暗記項目と割り切ってください).

 
法6条一号(通称:一号物件) 特建200㎡超え 
法6条二号(通称:二号物件) 木造 3以上の階を有する,500㎡,高さ13m,軒高9m超え
法6条三号(通称:三号物件) 非木造 2階以上,200㎡超え
法6条四号(通称:四号物件) これら以外の都市計画区域内建築物
 
二号物件は,木造の建物に関する規定であり,ここに出てくる「高さ13m,軒高9m」という言い回しは,今後も頻繁に出てきます.したがって,「木造の建物で,高さ13m,軒高9mを超える建物は,注意して設計・監理する必要がある物件なんだな.」と理解しておいてください(ちなみに,軒高が,建物高さを超えることはありません).
 
一号~三号物件に該当しなくとも,都市計画区域内の建物は,ほとんどが四号(通称:四号物件)に該当します.ただし,四号物件の場合は,確認申請書に必要な添付図面の種類が少なくて済みます.一号~三号物件の場合「建築」と「大規模の修繕・模様替」について申請が必要ですが四号物件は「大規模の修繕・模様替」については,申請が不要となります.これは定番問題ですので,併せて覚えておいて下さい.

中間検査」(法7条の3)について補足説明しておきましょう.旧来は,確認済証の交付を受け,工事を着工し,工事が完了した後に,工事完了申請を提出し,完了検査を経て,検査済証を交付してもらう流れでしたが,この流れですと例えば,完了検査の時点で法令違反などの問題が発覚した場合,既に,完成してしまっている建物を壊して法基準を満たす形に作り変えることになります.また完了時には隠れて見えない部分についても,途中の段階で見ていれば修正可能だった不具合部分も,その時点で是正することが可能です.そこで,「特定工程」が定められます(「階数が3以上である共同住宅」という具体的な規模用途が記載された点に注意してください).建物の構造や規模にもよりますが,例えば,基礎の配筋完了時が「特定工程」として指定されている場合には,基礎の配筋という工事工程が完了した時点で,「中間検査の申請」を行い,「中間検査のチェック」を受けた後出なければ次の工事工程に進めません.つまり,工事を進めることができないということです.尚,中間検査の申請先も,確認申請や工事完了申請と同様に,建築主事でなく,指定確認検査機関にお願いしても構いません(法7条の4).


仮使用」については,先述の通り,本来は完了検査済証を発行してもらわなければ,例え,建築主であろうと勝手に建物を使用することが出来ません(法7条の6).違反建築物として工事が完了してしまっている可能性もあるからです.建築主は,建築については素人でもあるので,自分が建ててもらった建物が違反建築物であるかどうかどうかの判断を適切に下すことができません.仮に,建築主自身が違反建築物であることを知った上でその建物を使用し,万が一事故が起きても自業自得ですが,そこに,建築主以外の第三者が違反建築物だと知らずに利用して,例えば,いきなりデパートや映画館の床が抜けて命を落とすことになったとしたら,社会的に大問題となってしまいます.ただし,法7条の6では,ただし書きで特例を設けてあります.その特例とは,例えば「特定行政庁が安全上,防火上,避難上の観点から考えて,完了検査済証が発行される前でも使用(=仮使用)してもよいと認めた場合」です.(平成27年の改正で「建築主事」と「指定確認検査機関」も所定の範囲で仮使用を認定することができるようになりました).


「仮使用」(法7条の6)と対比で覚えておきたいのが「安全上の措置等に関する計画の届出」(法90条の3)の話です.この規定は,一見,「仮使用申請」の話と似ていますが,全くの別モノだと考えて下さい.所定の建築物の場合,工事の施工中に建物を使用する場合には,仮使用申請とは別に,この「安全上の措置等に関する計画の届出」を特定行政庁に提出する必要があります.「仮使用申請」とごっちゃになって考えてしまう受験生も多いので,注意して下さい.以上を踏まえた上で,収録されている問題を解いて頂ければ,この項目の対策も万全でしょう.


定期報告」(法12条)について,以前は,定期報告の実施要請を無視する建主や,精度の低い報告が少なからずいましたが,違法な増改築や,エレベーターによる死亡事故,遊戯施設による死亡事故などが起こり,運用の厳格化が行われました.また実際に健全な社会ストックの拡充という観点からも,注目される制度です(そういう観点からも出題は多い).建築物で言うと同条1項は「政令で定めるもの」と「特定行政庁が指定するもの」の2つあります.従来は,後者だけの規定だったのですが,現在は,全国共通で指定される用途・規模については「政令」で定めて,それから漏れたものを補完できるよう各地の行政庁が独自に指定する,という立て付けになっています.

最後に「用途変更」について簡単に説明します.法87条に,「建物の用途を変更して,変更後,法6条一号条件に該当する建物(=一号物件)となる場合には,用途変更による申請義務が生じる.」とあり,また,カッコ書きで,「類似用途(=映画館から劇場への用途変更というような同じ内容の用途への変更をいう)の場合は,用途変更による申請義務は発生しませんよ.」と規定されているわけです.類似用途(通称:類似特建)かどうかについては,令137条の18でチェックします.あとは,解説を読んで頂ければマスターできるはずです.要は,映画館として設計した建物の場合は,映画館という用途を踏まえて必要となる関係法令が適用され,それらの規定を全てクリアーした上で存在しているわけだから,類似用途である劇場に変更したところで,必要となる関係法令は,全てクリアーできているものとみなせるわけです.ただし,劇場からデパート(物品販売業を営む店舗等)への用途変更の場合は,劇場という用途について要求される関係法令と,デパートという用途に対して要求される関係法令は,全く異なる内容のものですので,その場合は,再度,確認申請を行って,デパートという用途に要求される関係法令を全て満たしているかどうかのチェックを受けなさい,という話ですね.

■学習のポイント 
問題解説を読み,条文で確かめるという手順で学習を進めてください.解説部分で条文の意味を先に学び,その内容がどのような形で条文で表記されているかどうかをチェックしていくような手順です.勿論,慣れてくれば,毎回引く必要はありませんし,問題文がそのまま条文の内容で「○」という出題については,深追いする必要はありません.一方で,構成や文節が複雑で,その意味をダイレクトで理解することが難しい条文もあります.特に,それが頻出して出題されている条文の場合は,解説を読み,条文を眺め,また,解説を読むといったように繰り返し進めていきましょう.市販の解説書やネットで調べても構いません.ここでもう一手間です!自分で調べた事が「条文でどう書かれているか」を確認してください.その解説書は,試験当日持ち込む事はできませんが,条文を見れば「ここに,こんな事が書かれている」という事が甦る状況を作っておければ,それは法令集で代用できます(法令集は持ち込めるのですから).
大事なのは「法令集に細工する事」ではなく,「法令集で条文を見れば,構成や出題のポイントが分かる」と言う事を試験までに準備しておくという事です.全ての条文は必要ありません.様々な切り口で出題される条文だけで構いませんので,その意識で挑みましょう.
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