04法規

13. 防火区画

まずは,オンライン講義の様子をご覧ください(Youtube動画 約4分30秒)

最初に「防火区画って何?」という話から.1つ前の項目である「防火地域」の規定が,外部からの建物への延焼を防ぐ(=隣の建物に火災が起きた際に,自分の建物に延焼されない)ための規定だとすると,この「防火区画」の規定は,「自分の建物内で起きた火災が,建物内の他の部分に延焼していく(=燃え広がっていく)ことを防ぐための規定」と言う事になります.たとえば,自分の建物内のあるフロア(階)を,Aブロック,Bブロック,Cブロックと3つのブロックに区画したとしましょう.その場合,Aブロック内で火災が発生したとしても,区画しておけば,B,Cブロックに延焼することを防ぐことができます.これが,「防火区画」についての基本的な概念となります.

次に,防火区画の種類について,区画の仕方(=ブロック分けの仕方)によって,次の4種類に分けられます.

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1.面積区画 (1項~6項) → 所定の面積ごとの区画
2.高層区画 (7項~10項) → 高層階における面積ごとの区画
3.竪穴区画 (11~15項) → 階段や吹抜け等の部分と他の部分とを区画
4.異種用途区画 (18項) → 建物内の用途が異なる場合に区画
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(オマケみたいなもので「無窓居室の防火区画」という規定もあります)
さて,実務でも「防火区画といえば令112条」と即答できるようになっておくと便利です.また,学科試験対策においては,それぞの区画に関する規定が,112条の何項に規定されているのか(位置づけ)を暗記しておくと,これまた非常に便利です.法令集を確認する手間もかかりませんので,時間短縮にも有効です.

それでは ,区画の仕方についてみていきましょう.これも暗記です.
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1.面積区画 
  1時間準耐火基準の準耐火構造の壁・床又は特定防火設備
2.高層区画  
  耐火構造の壁・床又は防火設備(緩和の場合は,特定防火設備)
3.たて穴区画 
  準耐火構造の壁・床又は防火設備(遮煙)
4.異種用途区画
  1時間準耐火基準の準耐火構造の壁・床又は特定防火設備(遮煙)
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ここで,準耐火建築物について復習しておきましょう.準耐火建築物には,ザックリ次の4種類が存在します.これも暗記しておいて下さい.この内容を理解できているかどうかによって法規科目の理解度に大きく影響します.
準耐火建築物は
(イ-1) 1時間準耐火基準のイ準耐
(イ-2) イ準耐(45分)
(ロ-1) 外壁耐火のロ準耐
(ロ-2) 不燃ロ準耐
準耐火建築物のうち, 「1時間準耐火基準のイ準耐」と「不燃ロ準耐」は,性能が高く,「イ準耐(45分)」と「外壁耐火のロ準耐」は,性能が低い準耐火建築物である(だから4項では,防火上主要な間仕切壁の制限も付加される)と便宜上覚えておいて下さい.こう理解しておけば,面積区画の4項(500㎡区画),5項(1,000㎡区画)の分類が条文から読めるはずですし,規定により「通常火災時間が1時間以上」や「特定避難時間が1時間以上」とした建築物は,当然,5項に該当する(耐火建築物ではない)建築物となります.

最後に,「16項」の「接壁」について補足説明しておきます.この接壁とは,次のようなイメージです.

上図のように,せっかく防火区画をしても建物の外から開口部等を通じて火が廻り込んでしまえば,区画した意味がなくなってしまうため「接壁」を設けるわけです.これは,製図試験においても学習する話でもあります.
以上の内容を踏まえた上で, 解説を読んだ時に,一旦,条文の構成を思い浮かべながらら進めていってください.そのうち,問題文を読んだ時にも,その条文の構成が浮かぶようになってきます

■学習のポイント
「令112条」は,法改正によってドンドン変わっていきます.ただし,骨子はそれほど大きく変わっていません.細かい点はさておき,大枠で4つの防火区画でまとめる視点を.少しずつに細かい話に入っていく事に注意してください.複合的な条文を1つ1つ順番に完璧に理解しようとすると,分からなくなってしまいます.この項目に限った事ではありませんが,まずは1巡を通して,全体像の把握(構成の理解)を中心に進めていきましょう.最初から100%理解を目指してしまうと,途中で頓挫しがちです.2巡,3巡と進めるに連れて,分厚く,全体が繋がっていくイメージを持つような学習スタイルを構築していってください
 
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