04法規

22. バリアフリー法

まずは,オンライン講義の様子をご覧ください(Youtube動画 約3分)

バリアフリー法(高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)の概略をおさえてしまいましょう.最初に用語の確認です.
□「特定建築物」 とは?
法2条十六号に定義されており,分かり易く説明すると,「学校,病院,事務所や共同住宅のように,利用者数の多い建築物」のことです.
□ 「特別特定建築物」 とは?
法2条十七号に定義されており,分かり易く説明すると,「特定建築物のうち,不特定多数の人が利用する百貨店などの特定建築物や,高齢者が利用する老人ホームなどの特定建築物」のことです. 尚,ここで注意して頂きたいのは,「特別特定建築物」は,「特定建築物」の一部であることです.これは,これまで勉強してきた「耐火建築物」と「準耐火建築物」の関係と一緒です.つまり,「特別特定建築物」は「特定建築物」に含まれている(包含関係)という事は理解しておきましょう.
 
「銀行は,特定建築物ですか?」といった具合に問われた場合は,このバリアフリー法2条十六号,十七号から「政令」をチェックします.例えば,法2条十六号に,「特定建築物とは,学校などの多数の者が利用する政令で定める建築物をいう.」とあります.建築基準法でも同じような言い回しが頻繁にありましたね.「政令」とは,「施行令」のことです.建築基準法の場合は,建築基準法の施行令というものがあり,同様に,バリアフリー法の場合も「施行令」というものがあります.したがって,「政令で定める」という言い回しがある場合には,「施行令の方で具体的に定めています」という風に頭の中で読み替えるようにして下さい.これだけで,条文をよりスムーズに読解できるようになります.では,具体的にどのような建築物が「特定建築物」とみなされるのかについて施行令4条を見てみましょう.そこに,バリアフリー法上,「特定建築物」としてみなされる建築物の一覧があります.ここをチェックすれば,問題文にある「銀行は,特定建築物ですか?」という問いに解答することができるわけです.「特別特定建築物」の場合も同じような要領で施行令5条を見ます.
 
次に,「建築物特定施設」という用語を覚えましょう.「建築物特定施設」とは,法2条十八号に規定されており,「出入口などで,施行令の方で具体的定められているものを建築物特定施設という.」とわかります.施行令6条に,具体的に定められている出入口や,廊下,階段などです.例えば,問題文で「昇降機は,建築物特定施設に含まれますか?」と問われたら,この施行令6条をチェックすれば一発で判断できます.非常に簡単ですね.
 
さて,次に,バリアフリー法の「基準」について説明しておきましょう.ここでは暗記することよりも,流れをマスターしてください.建築主等は,「特定建築物」を建築しようとする場合,「建築物移動等円滑化基準」というルールに適合するよう「努力」しなければなりません(法16条).また,「特別特定建築物」を建築しようとする場合,ある一定の規模については,「建築物移動等円滑化基準」というルールに適合させる「義務」があります(法14条).建築物移動等円滑化基準については,建築物特定施設である「出入口」の幅は,これくらい取りなさいとか,「駐車場」は,こういう具合に計画しなさいなどといった具体的なルールです.ここでの基準は,最低限の基準であって,より本格的に建築物をバリアフリー化するのであれば,更にワンランク上のルールがあります.それが,「建築物移動等円滑化誘導基準」と呼ばれるものです.「建築物移動等円滑化基準」よりも厳しく設定されております.これはどういったときに適用されるかというと「計画の認定」を受ける場合です(法17条3項第一号),
 
では,「計画の認定」とは何でしょうか.これは,「特定建築物(特別特定建築物を含む)を建築しようとする建築主等が,所管行政庁に,その計画内容について認定してもらうことができる.」というものです(法17条).義務ではなく自ら申請し,厳しい基準クリアし,認定を受けた特定建築物を「認定特定建築物」と言い,「容積率の特例」(法19条)や認定を受けたことを世間にアピールできる「表示」(法20条)等のメリットがあります.
 
上記の話を踏まえた上で,まずは,問題を解き進めていきましょう.収録問題を解き進めていくうちに,徐々に,知識をコントロールしている感覚が沸いてくると思います.この感覚こそ,学科試験に合格する際の感覚だと思ってください.この感覚を法規科目全般に渡り,また,全教科に渡り,広げていってください.ただし,肝心なのは,細かい部分にとらわれれ過ぎずに,法令集の構成を意識しつつ,その流れをマスターすることです.


■学習のポイント

この項目では,用語の意味や手続きの手順を確認するための問題がよく出題されますが,その分,「ケアレスミス」が起きる可能性も高くなってきます.「努力義務」と「義務」の違いや,「円滑化基準」と「円滑化誘導基準」の違いなど,普段なら取り違えないような事も読み落としたり,勘違いが発生したりするものです.無駄な失点は「読み落とさないぞ!」とか「条文と一言一句,照らし合わせてやる」という手法では防げません.上記のように体系的なイメージの中で問題文がどの辺りの話を聞いているのか,まずはその意味合いで問題文を捉えることです.その習慣や意識こそが本試験でのケアレスミスの防止に繋がります

 

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