04法規

24. 建築士法

大きな流れとしては,前半にある「建築士としての規定」と,後半にある「建築士事務所としての規定」の2つに分かれます.前半部分の「建築士としての規定」の目玉は,「建築士法3条,3条の2,3条の3」に規定されている「設計制限」の話となります.ここには,1級建築士でなければ設計・監理できない構造・規模の条件について(続いて2級・木造の順に)規定されています.1級建築士の条件については,暗記しておくことをお薦めします

1級建築士の条件(士法3条)

一号:特建で,延べ面積500㎡超
二号:木造で,高さ13m,軒高9m超
三号:木造以外で,延べ面積300㎡超,高さ13m,軒高9m超
四号:延べ面積1000㎡超,かつ,階数が2以上
これらは,基準法6条の「確認申請義務」の条件と絡めて覚えておくと効果的でしょう.例えば,「高さ13m,軒高9m超」という言い回しは,共通するものですし,また,特建,木造,木造以外という順序も同じですね.
 
2級建築士以上の条件(士法3条の2
※第一号と二号の区分が紛らわしい言い回しになっているので,次のように読み替えてください.
———-
非木造で,延べ面積30㎡超,又は階数が3以上
木造で,延べ面積300㎡超,又は階数が3以上
———-
木造建築士以上の条件(士法3条の3
木造で,100㎡超

つまり,木造の場合には,階数が2以下,かつ,高さ13m,軒高9m以下で,延べ面積が100㎡以下であれば,無資格でも設計・工事監理する事ができます.「建築士の業務範囲」は,JAEICのホームページにも掲載されているので,一度,条文と照らし合わせておくと良いでしょう.【こちら】

※難解条文を無理やり読解するよりも,解説資料等の内容が「条文ではどう書かれているのか」を照らし合わせて確認するほうが,理解が進みます.
 
最初に説明した通り,この「建築士法」という項目においては,前半に,「建築士としての規定」があり,後半に,「建築士事務所としての規定」が記載されております.前半部分の「建築士としての規定」においては,「建築士法上の用語の定義」,「建築士の設計制限」,「免許の届出」,「免許の取消」,「工事監理や設計変更,表示行為,監理報告などの建築士業務についての話」が規定されています.
後半の「建築士事務所としての規定」においては,「事務所登録について」,「事務所登録の更新について」,「登録の変更届について」,「解散の届けについて」,「管理建築士について」,「帳簿・図書の保存について」,「必要書類の閲覧・必要書面の交付」について記載されています.

ここで,頻出されるポイントについて,いくつかお話しておきましょう.

1.建築士免許については,1級建築士免許は,国土交通大臣の免許(通称:大臣免許),2級建築士,木造建築士の場合は,都道府県知事免許(通称:知事免許)となります.
2.建築士事務所登録の場合は,1級,2級,木造建築士の別に関わらず「都道府県知事免許」となります.例えば,皆さんが晴れて,1級建築士となった場合には,大臣の名前で免許を貰いますが,その後,独立して1級建築士事務所を設立しようとした場合には,東京都であれば,新宿にある東京都庁に足を運び,そこで,事務所登録の手続きを都知事宛に行います.
3.最後に,建築士事務所には,事務所の開設者(いわゆる経営者)と,事務所の建築業務を管理する建築士(管理建築士)という者がいます.例えば,個人で建築士事務所を開こうとする場合には,事務所の開設者と,管理建築士が同一人物となりますので,無論,一級建築士事務所を開こうとすれば,一級建築士の免許が,二級建築士事務所を開こうとする場合には,二級建築士の免許が管理建築士として必要となりますが,自分が無資格者であっても,管理建築士を担当する者が,有資格者(一級建築士,二級建築士,木造建築士)であれば,一級,二級,木造建築士事務所を開くことができるのです.

頻出の条文についてみてみましょう.「士法18条3項」 に,「建築士の工事監理」について記載されています.これは,頻繁に本試験においても出題されている条文です.そこには,「建築士が工事監理を行う場合において,工事が設計図書の通りに実施されていないことが発覚した際には,直ちに工事施工者に注意を与え,それでも工事施工者がその注意に従わない時には,建築主(クライアント)に報告しなければならない.」とあります.もし,その建築工事を設計施工一貫方式である工務店なり,建設会社なりが受注した場合には,この条文は,ある意味で何の効力も持ち得ません.なぜなら,自分の会社が施工している工事内容について,その会社に所属する建築士がクライアントに,「我が社の工事部が,設計図書の内容と異なる工事を進めていますよ.どうしましょう?」と報告したりするでしょうか?常識的に考えてありえない話ですね.
 
「士法20条」には「建築士の行う業務についての表示行為」について記載されており「建築士が設計を行った場合には,設計図書に,建築士たる表示をして,記名及び押印をしなければならない.」とあります.この条文についても,本試験では,度々,出題されています.この条文の意味は,「設計事務所に複数の建築士が所属している場合,設計図などの設計図書には,その設計図を作成した建築士を明確にしなさい.」というものです.実際に設計事務所に所属している方は,お分かりのことと思いますが,設計図には,その事務所の「管理建築士」の記名及び押印を行っているケースがほとんどでした.さらには,「士法26条2項」に,「建築士事務所に対する監督処分」についての話が規定されており,その「八号」には,「建築士事務所に属するもので,建築士でないものが,建築士による設計制限(法3条,法3条の2,法3条の3)に違反し,設計・監理を行った場合には,都道府県知事は,その建築士事務所の一定期間の閉鎖や,事務所登録を取り消すことができる.」とあります.これが,何を意味するか?それは,例えば,「士法3条」により,「一級建築士でなければ設計・監理してはならない物件」の設計・監理を一級建築士でない者に担当させ,さらに,その設計図書に,その建築事務所の管理建築士の名義で,記名,及び,押印をさせるような建築士事務所は,建築士法違反として,場合によっては,建築士事務所としての登録を取り消されるという話なのです.
 
上記の話を踏まえた上で,まずは,基本問題から解き進めましょう.この項目においても,まずは,原文が掲載されている問題の解説を読み,原文の意味をある程度理解した上で,原文に目を通していって下さい.さらに,問題を解くことで,より理解が深まりますので,実践してみてください.

■学習のポイント
 
過去問には「建築士のモラル」という観点から「懲戒処分」の出題が多くあります.条文をみてみましょう.まず,「名義貸しの禁止」について,「建築士」に対しては士法21条の2,「建築士事務所」の開設者に対しては,士法24条の2というように問題文の設定によって参照条文が異なるので注意ください.次に「帳簿・図書の保存」について,事務所で業務に関する図書は5年→15年へと期間が大幅に長くなりました(士法24条の3,士法(規則)21条).罰則については,耐震基準など重大な規定違反については,それまでの罰金50万円から,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金と,厳格な処分となっています(建築基準法98条).また前述の「名義貸し」についても,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます.そして平成27年の法改正では,「書面による締結の義務化(士法22条の3の2)」や「管理建築士の責務(士法24条)」など,建築士法については,比較的,法改正の内容が出題されやすい傾向があります.
 
新問に対して「その根拠条文を法令集から探し出す」という手順に固執している場合,線引きをしていない部分は相当読み辛く,試験中に実践するのは困難です.一方で,気になった箇所を闇雲に線引きしたりインデックスを貼りまくってしまうと,余計みにくい法令集となってしまいます.重要なのは,問題文や法体系の勘所を養うことです.これは「ヤマ勘に頼る」ということではありません.例えば「定期講習」に関する出題があったとき,まずは建築士法の「目次」をみてみましょう.まずは,「どの章に属する内容なのか」を推測します(「建築士法の”章”」については,一通り読んでみてください).定期講習は6章の「建築士事務所」よりも建築士個人の話だし,法改正の概要を知っていれば,2章の「免許」や3章の「試験」ではなく「業務」に近い話だとわかります.内容は全く新しいものですので追加されていること推測してみると,「業務」の章の最後の方に記載されていることがわかります(士法22条の2).こういった具合に,法の構成から推測する手法を覚えておいてください.また,ある選択肢の内容が「対」になっていたり,他の選択枝と明らかに毛色が違っていたりする場合がありますので,注意深く,問題文中にある「手がかり」を読み取ってください.
 
一つ前のページへ戻る