05構造(力学計算編)

10.固有周期

上図のように,針金の先に物体が固定される状態をイメージしてください.これを「1質点系モデル」といいます.
この「1質点系モデル」に右図のように水平力が作用した時の水平変位をδとすると

上図のように先端に集中荷重が作用する片持ちばりの変形と置き換えて考えると,δ=PL^3/3EI・・・①と表せます(ここは,「たわみ」のインプットのコツ参照).
「層間変位」のインプットのコツの重要ポイント1.より,水平変位=せん断力(水平力)/剛性=P/K・・・②が言えます.
①,②より,

ポイント1.「剛性Kは,K=3EI/L^3となる」

建物が振動する際,堅い建物であれば素早く揺れ(ガタガタ揺れる感じ)柔らかい建物であればゆっくりと揺れます(ユッサユッサ揺れる感じ).この時,「単位振動数」あたりに要する時間(右に揺れて,左に揺れて,また右に揺れて,左に揺れて・・・の繰り返しにおいて,「右に揺れて,左に揺れて」の1セットに要する時間)を「周期」と言います.逆に,「単位時間(例えば,1秒間)」あたりに振動する回数を「振動数」と言います.
建物はその構造等により,建物固有の周期の値を持ちます.その周期を「固有周期」と言います.
ここで,一番上の図を考えた時,物体の質量をm,針金の剛性をKとすると,その固有周期TはT=2π√(m/K)となります.これは覚えてしまいましょう.
これとポイント1.より
 
ポイント2.

となります.
ここで,問題コード19071を見てみましょう.
問題コード19071の発展系として,柱が2本である場合が問題コード23071及び26071です.柱が2本であるため,その剛性Kは2倍になっている点に注意してください.また,問題コード23071及び26071のように,両端固定の門型ラーメンの柱1本あたりの剛性Kは,K=3EI/h^3ではなく,K=12EI/h^3になる点にも注意して下さい(問題コード23071及び26071の解説参照).
問題コード04071の架構Bについては,柱が3本であるため,その剛性Kは3倍となります.

問題コード25071,28061について.
応答スペクトルという概念については,別途,「応答スペクトル」のインプットのコツで説明を行います.
そちらを参照してください.


■ 近年の出題ポイント

この「固有周期」については,本試験においては,過去問題の類似問題が出題される傾向にありますので,今年度の本試験問題においても合格 ロケットに収録されている過去問20年分で問われた知識をきちんとマスターしてさえいれば確実に得点できるものと考えます.

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