06構造(文章題編)

08.鉄骨構造 

この項目は,問題数が非常に多く,覚えることも多いため,勉強するにも嫌気がさしてくる単元の一つではないでしょうか? 

このように,広い範囲から出題される項目に関しては,余り一つの事柄に深く入り込むのではなく,まずは,広く浅く知識を広げていくのがポイントです.他の科目にも共通している点として,建築士試験では,一級建築士としては知っていていただきたい重要事項を出題されていることがあげられます.ですから,まずは,過去問題とその解説を一読することをオススメします.


座屈等に関して

梁の横座屈は,H形鋼などの開断面の梁が曲げを受けた時,圧縮側のフランジ等が面外に座屈し,ねじれを生じ,曲げ耐力が低下する現象を指します.梁の材軸と(通常は,柱ならば縦方向,梁ならば横方向)直交方向にフランジが変形しないようにすることで横座屈は防止できます. 

横補剛とは,小梁などで梁フランジの面外変形を拘束し,横座屈を防止するために用いられます(問題コード26172).

柱や梁の端部,筋かいの端部や中央部のフランジやウェブなどが圧縮を受けると,それらが局所的に波打つように変形することがあります.これを局部座屈といいます.
H型鋼などの柱材方向に平行方向のスチフナ(鋼板)は,柱では縦スチフナ,梁では水平スチフナと呼ばれます.また,材軸と直交方向に入れるスチフナは,梁でも柱でも中間スチフナと呼びます.中間スチフナは,ウェブの局部座屈を防ぐのに力を発揮します(問題コード13171).
局部座屈は,フランジやウェブの幅厚比(フランジなどの幅/厚さ)と鋼材の降伏比に関係しています.フランジやウェブの幅厚比が小さいほど,鋼材の降伏比が小さいほど,局部座屈は生じにくく,部材の靭性は高くなります.


細長比に関して

の有効細長比は200以下(柱以外の場合には250以下)とします.

引張材は,高力ボルトの孔などによって断面欠損のある場合は,断面欠損を考慮した有効断面積で算定します.
山形鋼やみぞ形鋼などをガセットプレートの片側にのみ設ける場合には,偏心による曲げの影響を考慮して設計します.通常の場合,その突出脚の1/2の断面を無効とした断面で算定します(問題コード29152ほか).ボルトの数によって無効とする突出脚が変化しますが,それについてはこちらの資料(←別ファイルが開きます)が参考になると思います.


ボルト接合に関して

中ボルト接合高力ボルト接合の2種類に分類できます.
中ボルトを用いたボルト接合では,下図に示すように中ボルトの軸部に作用するせん断力により応力が伝えられます.
力の伝達としては,鋼板1からボルト軸部へは支圧ボルト軸部内部ではせん断ボルト軸部から鋼板2へは支圧で伝わります.

高力ボルト接合には,摩擦接合引張接合の2種類があります. .
 
高力ボルト摩擦接合では,高力ボルトが鋼板を締め付ける圧縮力で鋼板の接触面に生じる摩擦力により応力が伝えられます.

しかし,接合部に作用する力を次第に大きくすると,摩擦が切れ,高力ボルトの軸部が鋼板のボルト孔の側面に接触することになります.この状態では,中ボルトのように,高力ボルトの軸部に作用するせん断により応力が伝えられます.

つまり,高力ボルト摩擦接合では,許容応力度設計では摩擦で応力が伝達され,破断耐力(終局耐力)の計算では,摩擦が切れた後の応力はボルト軸部のせん断で応力が伝えられます.(問題コード13172)

摩擦面における滑り係数は,鋼板の赤錆面では0.45溶融亜鉛めっき面では0.4です.


保有耐力接合に関して

大地震時の安全性を確認する保有水平耐力計算や耐震計算ルート1の計算で用いる,崩壊メカニズム時の応力状態において柱及び梁の仕口部及び継手部や筋かい材の端部及び接合部が破断しない接合方法を保有耐力接合と呼びます.


溶接接合に関して

構造部材の溶接接合には,一般には,突合せ溶接すみ肉溶接が用いられます.その溶接記号に関してもチェックしておきましょう(問題コード21171).

突合せ溶接の継目に作用する応力は「引張,圧縮,せん断」であり,すみ肉溶接の継目には「せん断」が作用します(問題コード23173).溶接の継目の短期許容応力度と材料強度は同じ値と定められています.長期許容応力度はこれらの数値の1/1.5の値です.
溶接の有効面積は,「溶接の有効長さ」×「有効のど厚」により求められます.板厚が異なる時は,薄い方の板厚が有効のど厚になります.

すみ肉溶接は「すみ肉サイズの10倍以上,かつ40mm以上の長さのもの」を有効とし,その有効長さは「溶接の全長からすみ肉サイズの2倍を引いたもの」と定められています(問題コード21171).すみ肉ののど厚は「すみ肉サイズの1/√2倍」になります.
突合せ溶接とすみ肉溶接のせん断許容応力度は同じ値となりますが,圧縮・引張・曲げに関しては突合せ溶接はすみ肉溶接の√3倍の値となります(問題コード19153).


ボルトおよび高力ボルトと溶接との併用に関して

一つの継手の中に高力ボルトと溶接とを併用する場合,先に溶接を行うと溶接熱によって板が曲がり,高力ボルトを締め付けても接合面が密着しないことがあるので,両方の耐力を加算することができないが,先に高力ボルトを締め付けた場合には溶接による板の変形は拘束されるので,両方の許容力を加算してもよい(問題コード30173ほか).

継手にリベットを使用した建築物を増築または改築する場合は,既存時の使用中の応力によって,起こりえたかもしれないリベットのすべりは,すでに起こってしまっていると考えられるので,これらのリベットはそのまま既存建物の固定荷重を負担し,増改築分の固定過重および積載荷重による応力を溶接によって伝えるよう継手を設計してもよい(問題コード18182).

高力ボルトを用いた既存建物を増改築する場合も,同様の方法で溶接との併用継手を設計してよい.


柱脚について 
 
露出柱脚,根巻き柱脚,埋込み柱脚」の3つの特徴を覚えましょう. 
 
露出柱脚」とは,アンカーボルトとベースプレートにより鉄筋コンクリート構造と鉄骨柱が接合されたもので,軸力と曲げモーメントはベースプレートとアンカーボルトを介して基礎に伝達されます.せん断力はベースプレート下面とモルタルまたはコンクリートとの摩擦力,またはアンカーボルトの抵抗力により伝達されます(問題コード18184).
 
軸部の降伏に先立ってねじ部で破断が生じないような,軸部の塑性化が十分に保証された「転造ねじアンカーボルト」に関する出題もあります(問題コード29161). 
 
根巻き柱脚」とは,下部構造から立ち上げられた鉄筋コンクリート柱に鉄骨柱が包み込まれた形状で,圧縮軸力は根巻き部分の鋼柱およびベースプレート,引張軸力は根巻き部分の鋼柱およびアンカーボルトを介して基礎に伝達されます.曲げモーメントとせん断力は根巻き鉄筋コンクリート部分で伝達されます.
根巻き鉄筋コンクリートの高さは,柱せいの2.5倍以上とします(問題コード29163). 
 
埋込み柱脚」とは,下部の鉄筋コンクリート構造に鉄骨柱が埋め込まれた形状で,軸力は鉄骨柱脚部のベースプレートを介して基礎コンクリートに伝達されます.曲げモーメントとせん断力は基礎コンクリートと鉄骨柱の埋め込み部との間の支圧により伝達されます.
基礎コンクリートへの鉄骨柱の埋め込み深さは,柱せいの2倍以上とします(問題コード28164).


■学習のポイント

ここ数年,新しい項目に関する出題が増えてきています.
しかし,ほとんどの新問が正答肢(その問題が○や×となる決め手の選択肢)とはなっていないので,そんなに心配する必要はないと考えます.
まずは,毎年繰り返し出題されている過去問題を制覇しましょう!

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