07施工

05.コンクリート工事

まずは,過去問題の解説部分と「解説集」をチラ見しながら,全体を流し読みしてください.

約200問とボリュームが多い項目です.やってもやっても次から次へと問題が襲い掛かってきますが,負けないで頑張りましょう.
この項目に関しても,よく質問が来る点などについて,実際の問題文の補足説明(問題文が何を意味しているのであるかとか,問題文や解説文のどの部分が重要事項であるのかなど)に関して説明してきます.

コンクリートの性質について
「強度」について,最近の技術革新により,一般仕様として取り扱う普通コンクリートの設計基準強度の範囲が(今までの36N/mm2から)48N/mm2以下に拡大されました.
普通コンクリートのスランプとして,調合管理強度が33N/mm2以上の場合は21cm以下,33N/mm2未満の場合は18cm以下と覚えましょう.
コンクリートの単位水量を大きくすると,蒸発する水分が多くなるので,乾燥収縮が大きくなり,ひび割れが生じやすくなることを覚えましょう.
コンクリートの単位水量を小さくするには,一般に,骨材間の隙間が少なくなるよう調合(実績率を大きく)し,水やセメントの入る隙間を少なくすることを覚えましょう.
粒形判定実績率の大きい粗骨材(コンクリート用砕石及び砕砂)を使用すると,単位水量を低減することができ,乾燥収縮を少なくすることができることを覚えましょう.

2022年のJASS5の改定により,コンクリート工事に関する言葉の変更がありました.今回のJASS5の改定の背景には,「地球に優しく!」があります.

コンクリートは,水,結合材(一般にはセメント)および骨材(細骨材・粗骨材)によって構成されています.
コンクリートの主たる結合材であるポルトランドセメントは,原料焼成工程において二酸化炭素が大量に発生する地球にあまり優しくない材料なのです.
セメント製造に伴う二酸化炭素排出量は,電力,鉄鋼,化学に次ぐ第4位となっているので,二酸化炭素があまり排出されない結合材を使ったコンクリートの使用が推奨されるようになりました.
結合材としてほぼ100%セメントを用いる普通ポルトランドセメントに比べ、40%程度高炉スラグが入っている高炉セメントB種は普通ポルトランドセメントに比べて約40%の二酸化炭素排出量の削減、60%程度高炉スラグが入っている高炉セメントC種は約60%の二酸化炭素排出量の削減効果があると言われています.

簡単に言うと、100%セメントでなくても,高炉スラグが入っている高炉セメントであっても,圧縮強度という観点からはそこまで悪くないという結果から、地球に優しいコンクリートとして高炉セメント等の複合セメントの利用の推進という流れとなってきています.

さらに,コンクリートに求められる重要な性質に「材料分離しないで,良好なワーカビリティーを確保する」ということがあります.
これを確保するためには,コンクリート中の水の量に対し,ある一定の粉体の量が存在することが重量です.結合材(セメント+高炉スラグなど)に石灰石微粉末や砕石粉などを混ぜると,強度上昇にはほとんど効果はありませんが,フレッシュコンクリートに粘性を与えることで材料分離抵抗性の向上には期待できます.

以上のことより,「水セメント比」とか「単位セメント量」など従来用いられてきた「セメント」という言葉を「ポルトランドセメント」に限定し,混和材のうち,高炉スラグ微粉末やフライアッシュ等で「セメントと混合する活性無機質微粉末」と「セメント」が混ざり合った粉を「結合材」「結合材」に砕石粉等で「結合材と混合する非活性無機質微粉末」を混ぜた粉を「粉体」と呼ぶようになりました.

それにより,従来から用いられてきた「水セメント比」「単位セメント量」の他に,「水結合材比」「水粉体比」「単位結合材量」「単位粉体量」という言葉が誕生しました.

「環境性」について
カーボンニュートラルや地球温暖化対策に取り組む社会の動きに対応して,構造体及び部位・部材に求められる性能に「環境性」が加えられました.
「環境性」は「資源環境性」「低炭素性」「環境安全性」に分類されます.
「環境循環性」とは,天然資源使用量や廃棄物排出量の低減を,
「低炭素性」とは,地球温暖化物質排出量の削減を,
「環境安全性」とは,建築物のライフサイクルにわたって有害物質を排出しないことを目的とし,「資源循環等級」及び「低炭素等級」が制定されました.
「資源環境等級」は0~3の4水準とし,コンクリートとしての総合的な資源循環性を表現したもので,等級の数値の大きい方が資源環境性に優れているコンクリートであることを意味しています.
使用している水や結合材等で評価します.
「低炭素等級」も0~3の4水準とし,コンクリートの二酸化炭素削減率の範囲により,部位・部材ごとに規定されています.
等級の数値の大きい方が二酸化炭素削減率の大きい地球にやさしいコンクリートであることを意味しています.
「環境安全性」については,等級による規定ではなく,建築物の供用期間において,有害化学物質が有害量溶出しないように規定されたものです.

学科試験対策としては,これらの言葉を読み替えることで,出題される問題に対応することは可能です.あまり,難しく考えすぎないことが重要です.
以下のような数値は比較しながら覚えてるようにしましょう.

普通コンクリートの単位セメント量(単位結合材量)の最小値は270kg/m3と覚えましょう.同時に単位水量なども覚えるようにしましょう.
高性能AE剤を使用する普通コンクリートの単位セメント量(単位結合材量)は290kg/m3と覚えましょう.同時に軽量コンクリートに使用する場合は320kg/m3以上と覚えましょう(問題コード17115).
AE剤,AE減水剤,高性能AE減水剤を使用する普通コンクリートに含まれる空気量の標準は4.5%と覚えましょう(問題コード27103).
四週圧縮強度は,基準法施行令では下限値が定められている(上限値は定められていない)ことを覚えましょう.
ワーカビリティーとは,作業の容易さと品質の確保に関する総合的な性質のことであり,材料の分離を生じることなく,打ち込み,締め固め,仕上げ等の作業が容易にできる程度を示すフレッシュコンクリートの性質のことを指します.
コンシステンシーとは,主として水量によって左右されるフレッシュコンクリートの変形または流動に対する抵抗性のことを指します.
これらの違いをはっきり区別して覚えましょう(問題コード17215).

アルカリシリカ反応について
アルカシリカ反応の抑制には,コンクリートに含まれるアルカリ量を少なくすることが効果的であることを覚えましょう.
アルカリ骨材反応によるコンクリートの被害は,一般に,「反応性骨材」「高いアルカリ量」「十分な湿度」という三つの条件が揃った場合に生じやすいことを覚えましょう(問題コード26104).

施工上の注意点ほか
コンクリートをポンプ工法で送る場合は,セメント分が多く含まれた富調合のモルタルを送り,輸送管内面の潤滑性を良くし,更にコンクリートの品質変化を防止します.先に送ったモルタルの品質変化した部分についても,原則は廃棄処分とします.ただし,適切な対策を行い,工事監理者の承認を受けた場合は,型枠内に打ち込んでも良いことを覚えておきましょう(問題コード29111).
レディーミクストコンクリートの調合は,生産者(プラント)と購入者(施工者)が協議して,設計図書に適合するように決めると覚えましょう.
梁及びスラブの鉛直打継ぎ部は,欠陥が生じやすいので,できるだけ設けない方が良いですが,やむを得ず鉛直打継ぎ部を設ける場合は,部材のスパンの中央付近に設けることを覚えましょう(問題コード01102).
コンクリートの打設の際,型枠内で横流しをすると材料分離が起こりやすいので,できるだけ目的の位置に近づけて打設することを覚えましょう(問題コード24114).
コンクリートの打重ね時間の許容値は気温によって異なるので,それぞれの場合について覚えましょう.これに対応して,練り混ぜから打ち込みまでの時間も再確認しましょう(問題コード01104).
「計画供用期間の級」が標準で,普通ポルトランドセメントを使用した場合の湿潤養生期間を覚えましょう.
受入れ検査の圧縮強度試験で行う一回の試験結果は,自由に選ばれた1運搬車から採取した試料で作った3個の供試体の試験値の平均値で表すことを覚えましょう(問題コード02101).
施工者が受入れ検査を行う場所と確認する事項を覚えましょう.
従来から行ってきた構造体コンクリートの圧縮強度供試体の採取方法をB法といい,受入れ検査の圧縮強度試験と兼ねる方法をA法といいます.
B法の構造体コンクリートの圧縮強度試験の試験回数と試験用の供試体の採取方法を覚えましょう(問題コード30104).
寒中コンクリートや暑中コンクリートなどの特殊コンクリートの養生方法とか荷卸時の温度などについて整理して覚えましょう(問題コード26112ほか).
マスコンクリートや流動化コンクリートなどに関しても,過去問として出題されていることに関しては,覚えておきましょう.


■学習のポイント

過去問題の解説部分と「解説集」をチラ見しながら,全体を流し読みしてください.
この項目は毎年数問出題されており,覚える数値も非常に多い項目です.
基本的には,合格ロケットに収録されている過去問20年分の「知識」の理解で十分対応可能な項目であると思われます.
頑張って理解しましょう.

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